誹謗中傷を弁護士に依頼するメリット・デメリット

インターネット上での誹謗中傷は、企業に対して深刻な影響を与える可能性があります。事実ではない事への書き込みや風評被害などの影響により、企業のイメージや信頼性が損なわれ、商品やサービスの売上減少につながる可能性があります。また、社員の士気低下や、法的な問題が生じることもあります。

誹謗中傷に対応するためには、早期に対策を講じることが重要なため、適切な対策を取ることで、企業のイメージを守り、信頼性を高めることができます。

今回は誹謗中傷を弁護士に依頼するメリット・デメリット、さらには企業の立場から問題解決策についても解説します。

 

1. ネット上の誹謗中傷に関する主な犯罪とその成立条件

企業に対するネット上の誹謗中傷については、下記の犯罪が成立するものがあります。

1-1 名誉毀損罪(刑法230条1項)

企業の名誉毀損罪は、企業の名誉を傷つける行為が処罰される法的問題です。ネット上で企業の名誉を傷つける発言や書き込みを行った場合、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

1-2 信用毀損罪・偽計業務妨害罪(刑法233条)

ネットなどで虚偽の情報を特定または多数の人に故意に拡散し、その結果として他人(会社)の信用を低下させた場合は信用毀損罪が成立します。また同様に業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立します。

1-3 脅迫罪(刑法第222条)

脅迫罪は、企業関係者に対して危害を加える旨の脅迫を行い、相手に不利益な行為を強要する行為です。

 

2. 被害の種類や影響範囲について

2-1. 嘘や誇張を含む虚偽の情報

企業に対する誹謗中傷の多くは、嘘や誇張を含む虚偽の情報に基づいています。例えば、競合他社が企業に対して虚偽の批判を行うことで、企業の評判を損なうことがあります。

2-2.商品やサービスに対する批判

Googleマップの口コミやネット上の口コミサイト(5ちゃんねる)やSNSなどで、企業の商品やサービスに対して批判が投稿されることがあり、その影響で売り上げが大幅に減少することがあります。

2-3.個人情報の漏洩

企業のウェブサイトやSNSなどがハッキング被害に遭うことがあり、顧客の個人情報が流出する被害が発生することがあります。この場合、企業の信頼性やプライバシー保護の取り組みに対する評価が低下する可能性があります。また社員や幹部のプライバシーを侵害する投稿がインターネット上に掲載されることもあります。内容によっては、それまで培われてきた企業のクリーンなイメージに影響を及ぼすことがあります。

2-4. 社員クチコミサイトの情報

社員口コミ情報を提供するウェブサイトなどで事実に反する会社への批判的な口コミによって採用への影響を与える場合があります。

 

3. 弁護士に依頼するメリット5つ

誹謗中傷問題に直面した際、企業が弁護士に依頼するメリットは次の5つが挙げられます。

3-1 法律の専門的な知識と経験

弁護士は、法律の専門的な知識に基づき過去の類似ケースを経験しており、誹謗中傷に関する法的手続きや訴訟に関する適切なアドバイスができます。弁護士に依頼することにより、被害に遭った企業は、証拠の収集や書類の作成、関係者への連絡など、問題解決に向けた取り組みを進めることができます。

3-2 内部リソースの節約と労力負担の軽減

自社で問題解決を試みる場合、社員が法律や手続きについて研究し、適切な対策を立てなければならず、多大な時間と労力が必要になります。弁護士に依頼することで、企業は自社のリソースを有効に活用し、他の重要な業務に集中できます。

3-3 交渉力と損害の最小化

弁護士は、加害者やその代理人と交渉する際に、被害者の利益を最大限に守るためのスキルを持っています。適切な賠償金額の算定や示談交渉においても、弁護士の専門的な知識と経験が大きな助けとなります。

3-4 法律上の権利の確認と保護

企業が誹謗中傷問題に直面した際、弁護士は法律上の権利を確認し、それらを保護する方法を提案します。例えば、損害賠償請求や名誉回復の手続きについて、適切なアドバイスを提供することができます。また、企業が被害を受けた場合にどのような措置が取れるか、法律上の制約や可能性を明確に説明し、最適な解決策を提案します。

 

4. 弁護士に依頼するデメリット3つ

誹謗中傷問題に直面した際、企業が弁護士に依頼することは、専門的な知識や経験を活用して問題解決を図ることができますが、3つのデメリットも存在します。

4-1 費用の負担と時間の浪費

弁護士に依頼する最も大きなデメリットは、費用の負担です。弁護士による相談や代理交渉、訴訟などの手続きは高額な費用がかかることがあります。企業によっては、弁護士費用を捻出することが難しい場合もあり、財政的な負担が大きくなることが懸念されます。また解決までには手続きで多くの時間がかかることがあります。

4-2 企業イメージへの影響

誹謗中傷問題に対して法的手段を講じることは、企業のイメージに悪影響を与える可能性があります。例えば、訴訟を起こすことで「問題企業」というレッテルを貼られるリスクがあります。また、裁判がマスコミに取り上げられると、問題が一層拡散され、企業イメージの悪化につながることがあります。

4-3 法的な手続きがエスカレーションを招く可能性

誹謗中傷問題に対して法的手段を講じることで、加害者が反発し、SNSや口コミなどにさらに攻撃的な書き込みをしエスカレーションする可能性があります。これにより、当初の問題がさらに悪化し、解決までに多くの費用と時間がかかる場合があります。

 

5. 誹謗中傷に対する企業の対応策

問題解決のため、弁護士に相談する前に企業としてもいくつか対応策を取ることができます。

5-1 オンライン監視と情報収集

企業は、自社や製品・サービスに関する誹謗中傷や不適切な情報がインターネット上に投稿されていないかを定期的にチェックし、早期発見に努めることが重要です。オンライン監視ツールやSNSアラートサービスを活用して、効率的に情報収集を行いましょう。

5-2 対話による解決

誹謗中傷の投稿者と対話を行い、事実誤認や誤解を解消することで問題の解決を図ることができます。対話の際は、冷静で適切な言葉遣いを心掛け、誹謗中傷の背景や動機を理解し、改善点があれば対策を講じることが大切です。

5-3 誹謗中傷対策チームの設置

近年では企業側の対策として、誹謗中傷問題に迅速かつ適切に対応できるよう、専門的な知識を持つメンバーで構成される対策チームを設置する会社が増えています。チームは、問題発生時に迅速に対応し、適切なアクションプランを立案・実行することが求められます。

こららの対応を企業だけではまかないきれない場合はやはり弁護士へ相談するのが最善です。

また単発的な問題解決のために弁護士相談するよりも弁護士と顧問契約した方が以下のようなメリットがあります。

(1)スピーディーな法的サポート

弁護士と顧問契約することにより会社に問題が発生した際にスピーディーにサポートしてもらえます。これにより、企業は緊急時にも適切な法的対応を行うことができ、問題の拡大を防ぐことができます。

(2)法的トラブルの予防

顧問弁護士が法的アドバイスやガイダンスを提供することで、法律に関する問題を事前に把握し、適切な対策を講じることができます。これにより、企業が法的トラブルを未然に防ぐことができます。

(3)コスト削減

弁護士と顧問契約することで、企業は必要に応じて法的サポートを受けることができます。これにより、個別の問題ごとに弁護士を雇うことなく、効率的にコストを抑えることができます。

 

稲葉セントラル法律事務所では誹謗中傷問題に関する事例を多数経験している弁護士が在籍しており、企業向けに予防法務についての相談や解決の方法をアドバイス致します。どうぞお気軽にご依頼ください。

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