Twitterで会社の誹謗中傷・名誉毀損をされた時の対処法

Twitter(ツイッター)は、世界利用者数3億人を超える匿名性のSNSです。匿名性・気軽につぶやき投稿ができる特徴から、軽い気持ちで悪意のある投稿を行う利用者が増えています。

個人にとどまらず企業、団体への名誉毀損、誹謗中傷も行われていて、さらに拡散力の高い「リツイート機能」も相まって、大きなトラブルに発展するケースが少なくありません。

この記事では、実際に企業が悪質な投稿をされたときの対応方法と解決策を解説します。

 

Contents

1 Twitterで名誉毀損・誹謗中傷ツイートの被害にあったら

Twitter上で会社の悪口、悪質な投稿による誹謗中傷の被害にあった場合、条件に当てはまれば削除やアカウントの凍結等の要請ができます。名誉毀損として投稿者を訴えることも可能です。

Twitter社は「暴力、嫌がらせ、およびその他の同様の種類の行動は、人々が自分自身を表現することを思いとどまらせ、最終的にはグローバルな公の会話の価値を低下させます」と表明しており、誹謗中傷や悪意のある書き込みを禁止する投稿ルールを定めています

【参考:引用】

Twitterルール

 

1-1 Twitter社が禁止している書き込み投稿ルール

Twitter社では、「すべてのユーザーが自由に、安心して公共の会話に参加できるよう」セキュリティ、プライバシー、信頼性の3つの観点から投稿ルールを設けています。

 

以下に誹謗中傷、名誉毀損対応に関連するルールを一部抜粋しました。

 

「攻撃的な行為/嫌がらせ: 特定の人物を標的とした嫌がらせに関与したり、他の人にそうするよう扇動したりすることを禁じます。これには、誰かが身体的危害を被ることを願う、または望むことも含まれます。」

嫌がらせや脅迫が主な目的で侮辱や中傷を繰り返している場合は、ツイートの削除対象になる可能性があります。ただし、程度によってはツイート表示の制限にとどめたり、すべての事例に削除措置を講じるわけではない、としています。

誹謗中傷を行った当人の書き込みだけでなく、個人、企業、団体への嫌がらせを他者に要求すること、扇動することも禁止行為としています。

 

「ヘイト行為: 人種、民族、出身地、社会的地位、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、深刻な疾患を理由にして他者への暴力を助長したり、脅迫または嫌がらせを行ったりする投稿を禁じます。」

  人種や出身地、社会的地位や性的志向などを理由に誹謗中傷を行う行為を禁止しています。ツイート投稿だけでなく、プロフィール画像やユーザー名、プロフィール欄なども同様に悪意のある表現規制の対象としています。

該当の書き込みやアカウントがあった場合は、表示の制限や削除対象になることがあります。

 

「合成または操作されたメディア: 何らかの損害につながる可能性が高い、合成または操作されたメディアを、ユーザーを欺くことを意図して共有することは禁止されています。」

画像や動画、音声、記事などのコンテンツを著しく悪意を持って改ざんし、操作・ねつ造等をしたものを投稿することを禁止しています。

対象のメディアがねつ造されたものなのか、公共の問題に関する広範囲な混乱、公共の安全への影響、または深刻な危害の可能性があるか、十分な検討が必要としていますが、該当する場合はツイートの削除や警告メッセ―ジなどのラベル付けがされます。

一方、風刺や“重大な混乱を引き起こさない”アニメーションやイラスト、解説、意見やコメントなど議論を活発にするような投稿に関してはポリシー違反ではないと定めています。

 

プラットフォームの操作およびスパム: 情報を人為的に拡散または隠蔽したり、Twitterのユーザー体験を操作または侵害する行為に関与したりする意図で、Twitterのサービスを利用することは禁じられています。詳細はこちらをご覧ください。」

偽のアカウント作成や共謀によってTwitterルールの違反行為を行うこと、商業利用目的で特定の商品やウェブサイトへの訪問者数を増やすスパムなどを禁止しています。

違反行為と認められた場合は、アカウントのロックやツイートの削除がされます。

 

いずれも判断はTwitter社にゆだねられるため、問題があると感じた場合は削除依頼や違反報告をし、回答を確認するのがよいでしょう。

 

【参考:引用】

Twitterルール

1-2 Twitterで増えている「名誉毀損罪」の要件とは

「名誉毀損罪」は、刑法230条で次のように定義されています。

「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」

該当する要件として以下の4つがあげられます。

  • 公然と
  • 事実を摘示
  • 人の名誉を毀損した者は
  • その事実の有無に関わらず

 

かみ砕くと、「多くの人に伝わる状態(場)で侮辱暴言ではなく、具体的な事実内容を示し誰かの名誉を傷つけたり、社会的地位を低下させたりした。」ということになります。

名誉毀損罪おける「名誉」とは社会的名誉のことを指します。社会的名誉とは個人や企業が社会から受ける評価のことです。

1-3 名誉毀損になる投稿の条件|ツイート内容が事実でも名誉毀損の対象になる

名誉毀損罪では、“事実を摘示”とされていますので、内容が嘘か事実かは問われません。

公表された内容が事実であったとしても、名誉を傷つけられたり社会的地位を傷つけられたら名誉毀損の該当になる可能性があります。

例えば、個人名や会社・店名などを特定した上で「○○店の従業員は客の悪口を言っている」「○○が不倫行為をしている」といった書き込みや「Aという経営者は過去に犯罪行為を行っているので、会社そのものが信用できない」などといった誹謗中傷は対象となる可能性があります。

1-4 名誉毀損になる投稿の条件|リツイートも対象になる

名誉毀損罪は、「①公然と②事実を摘示し③人の名誉を毀損」した場合に成立します。

不特定多数の人に伝わる状態で、誰かの名誉を傷つけ社会的地位を低下させる行為があった場合は、名誉毀損になり得ます。

自身のツイートでなくとも他者の投稿をリツイートする行為は、不特定多数の人に対し、事実を示し伝えたことになります。実際に「リツイートは投稿内容に賛同する意思を示すものであるから責任が発生する」という判決が下ったケースがありますので、名誉毀損罪の該当になる可能性があります。

1-5 名誉毀損になる投稿の条件|なりすましアカウントによる投稿も対象

なりすましアカウント投稿とは、名前と顔写真が無断使用され、本人になりすましSNSや匿名掲示板で書き込み投稿をされることです。

なりすましアカウントによって、悪意のある内容、第三者の悪口、誹謗中傷するような書き込みをされることで、気づかない間に信頼が失落したり、法律違反が行われる恐れがあります。

このような場合、何も知らない人が読むと本人が投稿しているように思ってしまうため、なりすまし被害に合った本人の名誉が傷つきます。なりすましアカウントはTwitter社の定める投稿ルールにも違反しているため削除対象になり得ますし、名誉毀損罪や肖像権侵害が認めらえる可能性があります。

 

2 ツイートが名誉毀損や削除対象にならないケース

Twitter社は「すべての人が自由かつ安全に公の会話に参加できるようにすること」をポリシーにしているため、不都合な投稿のすべてを名誉毀損罪として訴えられたり、削除依頼ができるわけではありません。

 2-1 抽象的な誹謗中傷

「気に入らない」「態度が悪い」「頭が悪い」「ブス」などといった抽象的な誹謗中傷は、具体的な事実を伝えるものではないため名誉毀損としては扱われません。

ただし、名誉毀損でなくとも侮辱罪として扱われる可能性はあります。

このような誹謗中傷はTwitterのルール違反として削除対象や表示制限に該当する場合があります。削除要請をし、対処の確認をするとよいでしょう。

2-2 現実の会社、企業、個人を対象としていない

現実の本名、企業名ではなくネット上のアカウント名(匿名性が高い)で誹謗中傷を受けた場合には、名誉毀損の対象にならない可能性が高いです。現実的に社会評価が下がったか、悪影響を受けたかの判断が非常に難しくなるためです。

ハンドルネームや伏字の企業名で多くの人が本人を連想できるような場合でない限り、名誉毀損や削除対象に該当させるのは難しいでしょう。

2-3 公共性、公益性、真実性の要件を満たしている

名誉毀損が成立するような書き込み投稿であっても、公共性、公益性、真実性の要件を満たしていれば名誉毀損で罰しないことが刑法で規定されています。

例えば、政治家の汚職といった不祥事や社会的な影響力が強い大企業の違反行為、広く社会に公開することで安全が担保されるよう情報、それらが客観的な真実に基づいている場合です。

2-4 Twitter社の投稿禁止ルールに定められていない

前述のとおり、Twitter社では安全で自由なSNSを目指すため、投稿ルールを定めています(Twitterルール)。

ルールに定めていない事柄は、運営個人の考え方や意見だけに基づく判断でブロックしたり、制限したり、削除したりすることはありません。

また、投稿禁止ルールに定めている場合でも、程度によっては削除ではなく、「センシティブな内容」と警告メッセージがつく処理にとどまることがあります。

 

3 Twitterで名誉毀損をされた際の対処法

3-1  投稿の削除依頼をする

まずは投稿の広がりを最小限に抑えるために、削除するのが先決です。Twitterのヘルプセンターから削除要請と違反投稿内容を送ることができます。

ヘルプセンターTwitterのルール

または、アカウントをお持ちの場合、該当のツイートを投稿したアイコンの「…」から「ツイートを報告する」を選択し報告フォームを選択していくことで削除要請をすることができます。

該当ツイートからダイレクトに違法報告ができるため、ヘルプセンターから進むよりも簡単です。

3-2 投稿者を特定する[発信者情報開示請求]

投稿者を特定して訴えたい場合は発信者情報開示請求を行います。投稿者がわかることで直接削除交渉ができるようになるため、投稿者自らの書き込み削除が期待できます。

違法な投稿は弁護士に相談し、発信者情報開示請求という方法で相手を特定できる可能性があります。投稿者のIPアドレスやログなどを取得し相手を特定する方法です。ただし、弁護士の協力が必要で、違法性が明確である場合に限られます。

運営者側も個人情報を管理する義務があるため、必ずしも開示請求に応じてくれるとは限りません。この場合、特定することが難しくなります。

誹謗中傷にあった場合、どのような方法で対処ができるかまずは弁護士に相談することをお勧めします。

3-3 削除依頼が通らなかった場合の対処法

削除依頼申請が通らなかった場合、どのような原因があるのでしょうか。

原因としては以下があげられます。

  1. 削除要請を適切に行えなかった
  2. 明らかな悪意のある書き込み投稿、アカウントではなかった
  3. Twitter社側が違反と判断しなかった

 

まずは該当の投稿にどのような問題点があるか、再確認をしてみましょう。

Twitterルールから「悪質な投稿」「なりすましアカウント」などそれぞれの通報フォームに移動できますので、フォームの指示通りに入力を進めてください。

できる限り詳しく、どのような被害にあっているかを入力し、投稿URLを添えるのがポイントです。

 

もし明らかにルール違反のツイート投稿であるのに削除が行われなかった場合は、法的な対処が必要になります。「名誉毀損」「プライバシー侵害」「侮辱罪」等で権利の侵害を訴えることで、削除要請が通りやすくなります。

判断には専門の知識が必要になり、事実の確認等には時間や手間がかかります。お困りの場合は、インターネットやIT関連に強い弁護士に相談することをお勧めします。

 

4 Twitterの誹謗中傷・名誉棄損の書き込みを放置するとどうなる?

Twitterに会社の名誉毀損にあたる書き込みをされた場合、放置することによって様々なデメリットが生じます。特にTwitterをはじめとしたSNSは拡散されやすい特性があるので、できる限り早急に削除等のトラブル対応をすることが大切です。

4-1 企業の信用失墜

悪質な書き込みが広く拡散されることで、会社のイメージが損なわれ、信用を失う可能性があります。

4-2 売上減少

書き込みが消費者に影響を与えるような情報の場合、会社の売上に悪影響を与える可能性があります。例えば、嘘の異物混入書き込みや、経営者・従業員の不貞行為などです。

4-3 ブランド価値の低下

悪質な書き込みによって会社のブランド価値が低下することがあります。消費者に強くマイナスイメージが印象づけられた場合、一時的なブランド価値低下にとどまらず将来的に広告やマーケティング活動に影響を与える可能性があります。

トラブルが偶発的に起こった場合でも、そこから派生して「あの事故は設備管理が不十分だったからだ」「従業員を粗雑に扱っている会社だった」など会社の悪い評判が出回ることもあります。消費者の不買運動につながります。

4-4 法的問題

書き込みが法的に問題ある場合、放置することで、会社がトラブルに巻き込まれる可能性があります。なりすまし投稿で悪意のある他者が誹謗中傷ツイートを繰り返したり、違法性のある発言、言動を行ったりした場合は一般の人に勘違いをさせることになります。

実際にツイートをしていなくても、訴えられてしまうことがあります。

4-5 従業員のモチベーション低下

会社の名誉毀損を放置した場合、従業員は自分たちの働く会社に対して不安や不信感を持つ可能性があります。従業員は自分の会社に誇りをもって働きたいものです。たとえ投稿が嘘であっても、放置せずに削除要請をする、弁護士に相談をするなどできる限り早急な対応をしたほうがよいでしょう。

そのままにしておくと、従業員のモチベーションの低下につながってしまいます。

 

5 従業員がTwitterに就労先の誹謗中傷投稿をした場合

企業・団体に関する悪質な書き込みの特徴として、在職中の社員やスタッフが誹謗中傷を行っていたケースも多くみられます。

5-1 従業員が悪質な投稿を行っていたケース|懲戒処分する必要があるか?

自社の社員やアルバイト、スタッフがTwitterで会社に対する名誉毀損や人権侵害などを行っていた場合、明らかな違法性があれば懲戒処分の対象となることがあります。ツイートの投稿をしていたのが業務中であっても、プライベートな時間であっても同様です。

多くの企業で就業規則に「著しく不適切な行為」「会社の名誉・信用を著しく棄損する行為」は懲戒事由として定められています。

5-2 Twitterの投稿で懲戒処分や解雇が可能になるケース

従業員を懲戒処分する場合、以下の条件が必要です。

・就業規則や社内規則で、社員(従業員)の会社や同僚に対する誹謗中傷を禁じている

・誹謗中傷の書き込みが会社の業務や顧客へ悪影響を及ぼす場合

・秘密保持の義務違反

・会社に対する名誉毀損が行われた場合

・社員(従業員)が他者への差別や侮辱など社会的に不適切な発言を行った場合

 

以上のような条件がそろった場合、該当の社員に対して懲戒処分を科することができます。

ただし、具体的な処分の内容や重さは、被害の状況、内容や背景などを踏まえて慎重に決定する必要があります。

また、真実か虚偽なのか、会社に落ち度があるのかどうかも判断の基準になります。報復にあたるような重すぎる処分は、逆に不当解雇・不当処分として訴えられてしまう可能性もありますので注意が必要です。

5-3 解雇に当たらないケース

「給料が安い」「上司とそりが合わない」など単なる悪口の場合、解雇処分は重過ぎるといえるでしょう。懲戒処分の中でも、解雇は最も重い処分です。厳重注意として口頭で反省させる、減給にとどめることが多いです。

また、ツイート内容が個人的な内容で会社とは関係がない場合や、投稿を行った経緯や背景に相当の理由がある場合(例えば、残業代が未払い・パワハラ、セクハラを実際に行っている場合等)は状況を理解し問題解決に取り組む必要があります。

懲戒処分は具体的な事実に応じて慎重に判断をする必要があります。加えて、問題社員との面談や他の従業員にヒアリングを行うなど、事実確認に時間と手間がかかるものです。

まずは弁護士に相談し、力を借りながら適切に対応するとよいでしょう。

 

6 Twitter(ツイッター)上での嫌がらせ・誹謗中傷は弁護士に相談を

これまでご紹介した通り、Twitter上の悪質なツイート投稿・誹謗中傷の対処には時間と手間がかかります。拡散されやすいSNSの書き込みは即座に対応する必要があるため、ご自身ですべて対処しようとすると時間が足りずトラブルの拡大につながることも。

素早い対処と適切な判断を行うためにも、インターネットの誹謗中傷やIT分野に強い専門知識をもつ弁護士に相談することをお勧めします。

6-1 ネットトラブルに対応|稲葉セントラル法律事務所の4つの強み

当事務所ではネットトラブル・誹謗中傷に関して多数の相談をいただいております。弁護士であれば、削除依頼から訴訟までの対応が可能です。

ネットトラブル対応における私たちの「4つの強み」をご紹介します。

■誹謗中傷・風評被害対策に関する豊富な解決実績があります。

法人、個人を問わず対応経験があり、多数の媒体での削除実績があります。詳しくは「ネットトラブル・誹謗中傷に関する解決・相談事例|稲葉セントラル法律事務所」をご参照ください。

 ■依頼者の利益を最大化する提案

媒体や内容により、削除の可否や対応優先度が異なります。依頼者の利益を最大化するため、何を削除すべきか、どのように削除すべきかを検討しご提案します。単に削除するのみならず、削除後のアクションとして損害賠償請求等の法的手続きを含め、依頼者の名誉を回復すべくいかなる手段をとるべきかご提案をします。

■削除後の体制構築までサポート

誹謗中傷・風評被害を再び起こさないためのアフターサポートをいたします。その他に削除をするべき記事や投稿がある場合にもご提案をさせて頂きます。

 ■スピード対応

誹謗中傷・風評被害の削除対応や発信者情報開示はスピード勝負です。当事務所では、弁護士及びスタッフがネット削除対策のチーム制を組んでおり、ご契約いただいた時点から即座に対応できる体制を整えております。少しでも早く削除できるよう、迅速に対応いたします。

6-2 稲葉セントラル法律事務所の費用

当事務所では任意交渉による削除請求であれば、1件あたり着手金は5万5千円(税込み)となっております。複数の書き込みを削除する場合は、その件数等に応じて着手金の額を減額しております。

費用、期間は個々の事案によって異なります。詳しくは、相談の際に弁護士よりご説明させていただきます。

関連するページ

SERVICE取り扱い業務

NEWS新着情報

PAGE TOP