Web上の個人情報流出:法律エキスパートが指南する削除・対応・防御策

ネット中心の情報化社会において、個人情報がネット上に公開されることは、多くのリスクを孕んでいます。

氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、銀行口座番号など、個々を特定するための情報だけでなく、趣味や興味、Webサイトの閲覧履歴や購買履歴といったデータも個人情報とされ、それらは個人を特定、追跡し、または欺くために不正に利用される可能性があります。

例えば、フィッシング詐欺やID盗難、ストーキングなど、悪用されるとその影響は非常に深刻となります。また、一度ネット上に流出すると、それを完全に消去することは困難であるため、長期にわたる影響をもたらす可能性があります。

 

1. 個人情報流出の確認手段とその重要性

 あなたの個人情報がネットに漏洩したかどうかを確認する手段はいくつかあります。例えば、情報流出を通知する信頼できるサービスを利用する、または自身の名前やメールアドレスをインターネット検索エンジンに入力して検索するなどです。

個人情報がネットに出回っていることを早期に発見することで、迅速に対応し、さらなる損害を防ぐことが可能になります。

情報が漏洩した場合、何が漏洩したのかを具体的に特定することが重要です。例えば、氏名、住所、電話番号、銀行の詳細、クレジットカード情報、パスワードなど、どの種類の情報が漏洩したかによって、次に取るべき行動は変わります。

 

 

2. 個人情報がネットに晒された時の対応策

2-1. 個人情報のオンライン削除手続き

 情報が公開されている場所やその情報の性質により、オンラインでの個人情報の削除手続きは異なります。

たとえば、SNSやフォーラムなどのプラットフォーム上であれば、自身で投稿を削除したり、訂正したりすることが可能な場合が多いです。また、自身が直接コントロールできない情報、つまり第三者によって公開された情報の場合は、該当するWebサイトの運営者やプロバイダに直接連絡を取り、情報の削除を請求する必要があります。

しかし、全てのWebサイトがこの請求に対応するとは限らないため、その場合は弁護士に相談し、法的手段を検討することが必要になる場合もあります。

2-2. 検索エンジンからの情報削除

 オンライン上での個人情報の削除には、検索エンジンからの情報削除も含まれます。

具体的には、Googleなどの大手検索エンジンが提供する「検索結果からの情報削除フォーム」を使用することで可能となります。

個人情報保護や公序良俗に反する内容などの規定に基づき、自身の情報の削除を請求することができます。

2-3.  法的手続き:中傷及び侵害内容の削除請求

法的手続きを経ることで情報の削除を実現することもあります。これは主に、公開されている情報が中傷的な内容であったり、あなたの人権を侵害している場合に該当します。

 

以下に具体的な法的手続きを列挙します。

 

【訴訟を提起する】

個人情報を無許可で公開した第三者に対して法的措置を取るために、弁護士の助けを借りて訴訟を提起することがあります。

中傷、名誉毀損、プライバシー侵害などの主張を通じて、情報の削除または損害賠償を求めることができます。

 

【仮処分を求める】

速やかな対応が求められる場合、仮処分を求めることもあります。仮処分は、裁判が終わるまでの間、一時的に情報の公開を停止させる法的措置です。

 

【個人情報保護委員会へ相談】

個人情報保護法に基づき、企業や組織があなたの個人情報を適切に取り扱っていないと判断した場合、個人情報保護委員会が当該企業や組織に対して是正指示が出される可能性があります。

2-4.  犯人の特定と法的対処

 個人情報が無許可で公開され、それがあなたのプライバシーや名誉に損害を与えている場合、犯人の特定と対処は非常に重要なステップとなります。

以下に法的観点からの犯人特定と対処方法について詳しく説明します。

 

【犯人の特定】

情報が公開された場所(例えば、ウェブサイト、SNSなど)から、投稿者の情報を収集します。しかし、匿名で投稿されている場合や偽名が使われている場合は特定が難しい場合があります。

そのような場合、IPアドレスやその他の技術的手段を利用して特定することもありますが、それには専門的な知識が必要で、プライバシー法の制約に従う必要があります。また、必要に応じて警察や司法当局に情報提供を依頼することも可能です。

 

【法的措置】

犯人が特定できた場合、次のステップは法的措置を検討することです。具体的には、以下のような対処方法があります。

訴訟:弁護士を通じて犯人に対して訴訟を提起することができます。名誉毀損、プライバシー侵害、不法行為などの主張を通じて、情報の削除または損害賠償を求めることができます。

和解:法的手続きを避け、早期に問題を解決したい場合、犯人と和解することも考えられます。これには、犯人が情報を削除し、将来同様の行為をしないことを約束することが含まれます。

刑事告訴:特に悪質なケースでは、警察に相談し、刑事告訴をすることも可能です。これには、犯罪行為(例えば、名誉棄損、わいせつ、脅迫、詐欺など)が含まれている場合があります。

2-5.  デジタルアイデンティティの再構築

 

一度個人情報がネットに晒されてしまうと、それを完全に削除することは困難な場合があります。その場合、デジタルアイデンティティ(=ネット上の個人情報)の再構築が有効な戦略となることもあります。

具体的には、新たなID、パスワード、SNSアカウントの作成、メールアドレスの設定、情報の修正などが含まれます。

このような行動によって、古い個人情報と自身を切り離し、新たなデジタルアイデンティティを構築することが可能になります。

 

  

3. 情報流出を防ぐための予防策

 3-1. データセキュリティ:セキュアなパスワードと2段階認証

個人情報のネット流出を防ぐための最も基本的なステップは、自身のデータセキュリティを強化することです。

これには、セキュアなパスワードの作成と管理、さらには2段階認証の設定が含まれます。

複雑で長いパスワードを設定し、それを定期的に更新することは、アカウントのセキュリティを保つための基本的なステップです。

また、2段階認証は採用しているサイトやサービスにもよりますが、ユーザー名とパスワードだけでなく、ユーザー自身しか持っていないもの(例えば、スマートフォン)を使用して認証を行うシステムで、セキュリティを大幅に向上させることができます。

3-2. プライバシー設定の最適化

 さまざまなオンラインサービスやSNSは、ユーザーが自身のプライバシー設定をカスタマイズできる機能を提供しています。

どの情報を公開するか、誰がその情報を見ることができるかを制御することで、個人情報の流出リスクを低減することができます。

 3-3. オンライン行動における自己防衛:フィッシング詐欺とマルウェアからの保護

 個人情報の流出は、不注意なオンライン行動からも引き起こされます。フィッシング詐欺のメールやウェブサイト、マルウェアに感染したダウンロードなどから身を守るためには、常に慎重さを持ち続けることが重要です。

これには、未知の送信元からのメールを開かない、信頼性のあるソースからのみソフトウェアやアプリをダウンロードする、ウェブブラウジングにおいて安全なサイトを訪れる等の行動が含まれます。

3-4. データミニマリゼーション:必要な情報のみを共有

オンラインで自己情報を共有する際には、必要最小限の情報のみを提供することが理想的です。これを「データミニマリゼーション」と呼びます。

自分の全ての詳細情報をオンラインで公開することはリスクを増大させます。

したがって、各オンラインサービスでどの情報を必要としているかを検討し、不必要な情報は提供しないようにすることが重要です。

 

 

4. 弁護士に依頼するメリット

 それぞれの対応策は、情報が公開された状況やその情報の内容により、適用可能性が異なります。より具体的なアドバイスや手続きの支援を必要とする場合は、法律専門家に相談することが最善です。

以下に具体的なメリット挙げます。

 4-1. 専門的な法的支援

 弁護士は法律の専門家であり、個人情報保護法やデータプライバシーに関する法律を詳しく理解しています。したがって、弁護士は適切な法的対策を提案し、その実行を支援することができます。

 4-2. 専門的なネゴシエーションとコミュニケーション

 情報の削除を求める際には、Webサイトの管理者やデータベースの所有者とのネゴシエーションが必要になることがあります。弁護士はこのような状況での専門的なネゴシエーションとコミュニケーションを手助けすることができます。

4-3. 長期的な個人情報保護戦略の策定

 弁護士はただ問題を解決するだけでなく、将来的な個人情報保護の戦略を策定するのにも役立ちます。これには、情報管理のベストプラクティスの導入、プライバシーポリシーの理解と遵守、そして適切な法的対応の計画などが含まれます。

 

 

 まとめ

 デジタルエイジにおいて、個人情報の保護は重要な課題となっています。

ネットに個人情報が晒されてしまった時の削除方法、対処方法、防衛策について理解することは、自分自身の情報を守り、安全にネットを利用するために不可欠です。

 

個人情報の保護は最終的には自己責任であり、自己防衛のスキルと知識を身につけることが重要です。

しかし、複雑な問題や困難な状況に直面した際には、弁護士のような専門家の助けを借りることも重要です。

個人情報保護に対する法律は複雑であり、それぞれの状況に適した対策は異なります。

したがって、ここで説明した方法やアドバイスが全ての状況に適しているわけではありません。

具体的な問題や状況に対する最善の対策を見つけるためには、専門家に相談することを検討してみてください。

 

稲葉セントラル法律事務所では個人情報の保護に関する法的手続きや交渉のサポートなど専門的な知識と経験を活かして、問題解決に向けた適切なアドバイスを提供します。

見積もり依頼は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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