夫が盗撮で逮捕された!再犯防止のために家族ができること

突然訪れる、「信頼していた夫の逮捕」という出来事。

 

あなたのご主人が盗撮で逮捕されれば、ご主人に対する怒りや被害者の方に申し訳ないという気持ち、さらにはこれからの生活がどうなってしまうのかの不安の中で過ごすことになるでしょう。

重ねて、裁判や被害者への賠償など時間的・経済的・精神的な負担は計り知れません。

 

先の記事「あなたの盗撮行為、捕まる前に弁護士に相談すべき理由」でも述べていますが、盗撮行為は再犯率が非常に高い犯罪の一つです。

そのため盗撮事件の刑事裁判では、再犯の可能性が判決に大きく関わってきます。

 

盗撮という罪を犯してしまったご主人ともう一度向き合おうと思うのであれば、まずは『再犯防止』に努めることが重要なのです。

今回は、加害者となってしまったご主人に対して『妻であるあなたは今何をするべきか』考えてみたいと思います。

 

盗撮事件における『再犯防止』の重要性

『情状酌量』という言葉を耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。

これは、犯罪を犯してしまうに至った経緯や状況を酌んで刑罰を軽くすることですが、盗撮事件の裁判においては『再犯の可能性』が情状酌量の重要なポイントとなるのです。

 

犯罪は予めそれぞれにどの程度の刑罰を与えるのかが決められており、どんなに悪質だと判断されてもすでに定められた法定刑を超える刑罰が科せられることはありません。これを『罪刑法定主義』といいます。

たとえば、盗撮事件を起こして問われる罪の代表的なものとして、都道府県が定める迷惑防止条例がありますが、東京都の場合は次のように規定されています。

 

  • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金

 

すると、刑事裁判では「1年または2年の懲役」か「100万円以下の罰金」の範囲内でどの程度の刑罰が適当なのかが決定されます。

ここで実際に下される刑罰が『量刑』と呼ばれます。

 

では、量刑はどのように決められるのかというと、犯罪の悪質性や被害者が受けた被害の程度が影響するのはもちろんですが、さらに「情状を酌むべき理由」も重視されます。

犯罪の悪質性や被害の程度をはじめ、これまでの生活態度や仕事に取り組む姿勢・家族との関係などから、処分を軽くする理由はあるのかが審理されます。

 

そして、情状を酌むべき理由の中でも特に重視されるのが「どのような再犯防止対策がなされているのか?」なのです。

 

実際の判決文にみる「再犯防止」

実際に下された判決文から、再犯防止策を講じることがどのように判決に反映されているのかを見てみたいと思います。

 

「被告人は、覚せい剤営利目的譲渡又は所持に係る同種前科2犯を有するにもかかわらず、60グラムを超える多量の覚せい剤を営利目的で所持する判示犯行に及んだものであり、規範意識の鈍麻が著しく、その刑事責任は重大である。そのうえで、被告人が不合理な弁解に終始しており反省の姿勢がうかがわれないことなども考慮し、被告人に対しては主文の刑を科すことが相当であると判断した。」
(引用:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/600/088600_hanrei.pdf

 

これは、覚せい剤の所持による裁判の判決文の一部です。

この事件の被告人は「規範意識の感覚が鈍い」「反省の姿勢がうかがわれない」といった悪い評価を受けており、再犯の危険性が高いとして重い刑罰が科せられました。

 

一方、盗撮行為によって迷惑防止条例違反に問われた事件のものを見てみましょう。

 

「被告人は、被害者に不快な思いをさせたこと自体は認め、二度と盗撮行為をしないと述べていること、撮影した被害者の画像データを消去したこと、被告人に前科前歴がないこと、真面目に勤務していることなど被告人に酌むべき事情もある。そこで、以上を総合考慮し、被告人に主文の刑を量定した。」
(引用:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/301/035301_hanrei.pdf

 

「二度と盗撮行為はしない」との誓いや「撮影した画像データの消去」といった点が評価されて量刑が軽減されています。

このように、盗撮事件において再犯防止を重視すれば、懲役刑が軽減されたり、懲役刑ではなく罰金刑が適用されたりもするのです。

 

家族にできる盗撮の再犯防止対策とは

さて、盗撮事件の再犯防止対策の重要さがご理解いただけたと思います。

それでは実際に、どのような防止策が有効なのか、一緒に考えていきましょう。

撮影した盗撮画像や盗撮嗜好の画像・書籍などを処分させる

盗撮は性癖の一種です。

ただし、性癖とはいえ犯罪行為なのですから許されるものではありません。歪んだ性癖を更生するのは非常に難しいため、思い切った断絶が必要です。

 

まずは、盗撮を連想させるような撮影機器や実際のデータ、盗撮画像を掲載している書籍・アダルトビデオなどから遠ざけることから始めましょう。

盗撮に使用したデジタルカメラやスマートフォンなどの撮影機器に記録したデータだけでなく、自宅のパソコンやタブレット、以前使用していたスマートフォン、メモリーカードやUSBメモリなどの各種媒体ももれなく確認することをお勧めします。

 

また、盗撮の被害者としては、性犯罪というデリケートな被害にあった上にそのデータが加害者のもとにあるとなればさらに精神的なダメージを負うことになります。さらに、もしデータが流出してしまえば取り返しがつかない事態に発展するかもしれないと怖れることになります。

 

被害者感情に寄り添うためにも、まずは盗撮にかかわるすべての物品・データの洗い出しと処分を行いましょう。

また、このような対策を講じたことを上申書に書き添えることは示談や減刑を目指すにあたってプラスに働くことになります。

専門医のカウンセリングや治療を促す

これらの性犯罪は必ずしも異常な思考の持ち主ばかりが犯人になるわけではありません。

むしろ、周囲から「真面目な人」「普通の人」と言われている人がこのような犯罪に手を染めてしまうことも少なくないのです。

 

日本では、性依存症に対する専門的な外来治療を『SAG(Sexual Addiction Group-meeting)と呼んで、専門医によるカウンセリングや治療が進められています。性犯罪には薬物治療も効果的で、薬で性的欲求を抑えて盗撮への興味を減退させたのち、盗撮が可能な状況から遠ざけることで再犯の根絶を目指します。

 

しかし、これらの治療は、実刑判決を受けて刑務所に収監されてしまうと受けられません。特に、刑務所内では性依存症に対する薬物療法が一切認められていないので、専門医による薬物療法が有効であることをアピールすれば「刑務所への収監は更生の妨げになる」といった主張も可能になります。

 

専門医に相談し、社会復帰できればすぐにでも専門医のカウンセリング・治療を受けると約束することは「再犯防止策が講じられている」との判断材料の一つになるでしょう。

 

早期釈放や減刑を目指して

盗撮行為を犯してしまった本人への働きかけはもちろん重要ですが、対外的な対応も大切です。

 

例えば「きちんと更生するので、少しでも刑を軽くしてほしい」ということなどを被害者にお願いしたい場合の『嘆願書』や、検察や裁判所に対して加害者が反省していることや普段のふるまいなどを伝える『上申書』の作成は早期の釈放や減刑を目指すにあたって効果的といえます。

妻として、夫が真面目な人格であることを上申する

先ほどの判決文でも「まじめに勤務している」という一文があったように、たとえ罪を犯したといっても、日ごろの生活態度や行状が真面目であれば、情状酌量の材料となります。

 

  • 仕事や学校に怠けず通っている
  • 勤務や学業の成績が優秀である

 

犯罪とは直接的な関係はありませんが、このような真面目な人格を持っていれば、一度でも刑事事件となることで十分以上に反省し、二度と事件を起こさないようにと心がけることでしょう。

 

また、配偶者や親との関係が良好である、養育が必要な子どもがいるといった状況があれば、家庭環境を大切にするためにも再犯をはたらくおそれが低下するともいえます。

 

こういった状況を家族の立場で書きつづり、上申書という形で裁判所に提示することで、ご主人が真面目な人格であることの証拠となるでしょう。

特に、家庭における日ごろの生活態度や本人の性格などは、家族でないと書きつづれない迫真性がある内容です。

ご主人の「良いところ」をしっかりと伝えられるような上申書を作成しましょう。

嘆願書を作成して減刑を求める

職場の同僚や友人・知人など、信頼のおける仲間の名義で、減刑を求める嘆願書を作成してもらうことで、逮捕された人について「周囲からの信頼が厚い」と評価される材料になります。

 

周囲の人からの嘆願書があれば、逮捕された本人も「期待を裏切れない」と心得ることになるので、強力な再犯防止対策として効果を発揮するでしょう。逮捕された本人が嘆願書の作成を依頼するのは難しいので、家族が周囲の人にはたらきかけてお願いすることになります。

 

これらの書類は、ただ思いの丈を書き綴るものではありません。要点を押さえて作成する必要がありますから、ここはご家族と弁護士が二人三脚で進めていくのがベターでしょう。

 

おわりに

あなたのご主人に盗撮の容疑がかかってしまった場合や逮捕されてしまった場合、または盗撮していることを何らかの形で知ってしまったとき、私たち弁護士にできることは裁判での弁護だけではありません。

 

  • 効果的な嘆願書・上申書の作成
  • 被害者との示談交渉
  • 犯罪行為の再犯防止策のアドバイスやサポート

 

など、それぞれの立場に寄り添い、解決に向けて働きかけていくことができます。

あなたやご主人だけで抱え込まずに、まずは一度稲葉セントラル法律事務所までご相談ください。

 

まずは弁護士にご相談ください

弁護士法人 稲葉セントラル法律事務所では、元検事の弁護士が迅速にご相談に対応できる体制を整えています。手続きの見通し、不起訴の見立て、示談交渉のノウハウ、検察、警察の手法を知っているからこそ有効な弁護活動を知り、確かなサポートを提供しております。

ご本人、ご家族からの相談は初回無料です。刑事事件でお困りの方はお気軽にこちらよりご相談ください。

 

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