パパ活が逮捕事件に?刑事事件に詳しい弁護士が解説

先日のニュースで、愛人契約の報酬目的で女性に偽造した小切手を渡したとして、男性が有価証券偽造、同行使の疑いで逮捕されたというニュースがありました。

昨今、上記のような、女性に対して金銭を渡すと嘘をつき、性行為を要求することに関するトラブルが多く、弊所でもご相談に来られる方がいらっしゃいます。

今回は、このような性行為と金にまつわるトラブルについて記載したいと思います。

パパ活の危険性についてとは?

巷では、「パパ活」という言葉をよく耳にします。

元々は、援助交際、神待ちという言葉であり、その実態は変わらないものの、キャッチーな表現になって、手軽にできるものという印象が世間的に広まっているものと思われます。

 

「パパ活」と言っても、食事やデートを共にするだけ、性行為をする、といったように、さまざまな種類があるようです。

そして、パパ活中のトラブルであっても、女性であれば「性行為に応じたのにお金をもらえなかった」「性行為の写真をばら撒くと脅されている」、男性であれば「お金を払ったのにこちらの要望を聞いてくれない」「パパ活していることを言いふらすと脅されている」などと、こちらもさまざまです。

そういうわけで、「パパ活で犯罪に巻き込まれた!」と言っても、そのトラブルの中身を確認しないと、きちんとした解決には辿り着けません。

今回は、パパ活における女性側が主体となるトラブルについて、いくつかの例をあげてみていこうと思います。

 

ケース1   性行為と金銭が対価関係になっている場合(いわゆる愛人契約を締結したとき)

ある女性が、ある男性に、「パパ活で、月○○円で、食事や性行為に応じてくれ」と言われたとしましょう。

その女性には、全く恋愛感情はなく、相手の男性にも妻がいて、お互いに真剣な恋愛ではない、とします。

その女性は、金銭をもらえるなら性行為に応じるくらい良いだろう、と考え、これに応じました。

この合意に基づき、女性は、男性の依頼に応じ、食事や性行為を何度か交わしました。

しかし、女性は、一向に、月○○円の支払いをしてもらえなかったので、男性に、「いつお金くれるんですか。」と尋ねたところ、その男性と連絡が取れなくなってしまいました。

 

さて、この立場に置かれた女性はどうすべきでしょうか。

 

 

「相手の男性を見つけ出して、約束通りの金銭を支払ってもらいたい」(民事上の話)

もともと相手の男性がどこの誰で、どこに住んでいて、どこで働いているのかを知っていたとしましょう。

あるいは、探偵に依頼するなどして、これらの情報がわかったとしましょう。

その女性は、相手の男性から、約束通りの金銭を支払ってもらえるのでしょうか。

これについては、「非常に難しい」と言えるでしょう。

民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。」と定めており、上記のような愛人契約は、善良な風俗に反するものと考えられ、無効であると評価される可能性が非常に高いです。

そういうわけで、約束通りのお金を支払ってもらうことは難しいです。

 

 

「相手の男性に、『お金を支払わないなら、奥さんや会社に言いふらす』などと言って、お金を支払ってもらおう」

相手の男性にこのようなことを言えば、お金を支払ってくれるかもしれないと考えた女性ですが、その発言ややり方次第では、女性自身が、刑法上の恐喝罪、強要罪、脅迫罪に当たり、被疑者として扱われてしまう可能性もあります。

 

 

「そもそも、相手の男性が詐欺罪なのでは。警察に訴えたい。」

詐欺罪だと言えるためには、相手の男性が、上記のような愛人契約を締結した時点で、女性に対してお金を支払うつもりがなかったと言えることが必要です。

女性がお金を要求した時から、相手の男性と連絡がつかなくなってしまったという出来事は、もともと支払うつもりがなかっただろうと言える一つの事情ですから、やはり相手は詐欺罪に当たる行為をしたのではないか、と考えられます。

しかし、仮に当初から男性に金銭を支払うつもりがなく、そのような契約をした上で性行為に応じてしまったとしても、「詐欺に当たる可能性は低い」と考えられます。

 

その理由は、捜査機関や裁判所が、売春契約を詐欺罪の保護の対象とすれば、国として売春することを保護するというお墨付きを与えてしまうことになるため、やはり消極的にならざるをえないからです。冒頭で紹介した、小切手を渡したという事案についても、逮捕事実に詐欺罪や詐欺未遂罪が含まれていても良いと思われますが、これが含まれていないということを考えるとやはり捜査機関としても詐欺として構成することに抵抗感があるのではないか、と考えられます。

 

裁判例はどのように判断しているか?

札幌高裁昭和27年11月20日の裁判例では、被告人がお金を持たず、また支払うつもりもないのに、宿泊施設にて飲食を行った上、淫売料千円(昭和27年当時の価格)で売春婦と性行為したという事案で、「元来売淫行為は善良の風俗に反する行為であつて、その契約は無効のものであるからこれによる売淫料債務を負担することはないのである。従つて売淫者を欺罔してその支払を免れても財産上不法の利益を得たとはいい得ないのである。よつて右千円については詐欺罪は構成しない。」と判断したものが存在します。

ただし、この事案は、性行為について詐欺罪を構成しないとしても、無銭飲食で詐欺罪として有罪に処すことができる事案であったため、この点を敢えて詐欺罪と構成する実益がなかったのではないか、と考えられます。

次に、詐欺罪に当たると判断した裁判例も存在しますが(名古屋高裁昭和30年12月13日)、この事案は、売春を業として行っていることが社会的に評価される相手に対して、支払意思もないのに売春契約を結んだという事案であり、今回のテーマの「パパ活」を行う個人の場合には妥当しないと考えられます。また、前記裁判例と異なり、これについて無罪とすると被告人が完全放免になってしまうという価値判断も含まれていたものと思われます。

以上見てきたように、ケース1ではお金の請求も、捜査機関に被害を訴えることも難しいと考えられます。

そうすると、泣き寝入りするしかないという結論になってしまいます。

 

ケース2 愛人契約をやめたいのに、性行為に応じろと脅されている

もうパパ活をやめたいと思っているのに、相手の男性から「関係を継続しないと、裸の写真をばら撒くぞ」「お前の学校や会社に言いふらしてやるぞ」などと脅されているというケースもあります。

このような場合は、もはやパパ活それ自体が問題なのではなく、その脅している行為それ自体が問題です。

脅されて性行為に応じてしまった場合には、強制性交等罪などの犯罪が成立すると考えられますので、脅されたことが客観的に分かるようなLINEのやりとり、音声などを保存して、被害を弁護士や捜査機関に訴え出ることが相当です。

 

ケース3 知らない間に避妊具を外されてしまい、望まない妊娠をしてしまった(いわゆるステルシング)

こちらもパパ活それ自体の問題ではありません。

ステルシングそれ自体の問題点は、ここで記載するとかなりのボリュームになりますので、別の記事に委ねたいと思いますが、日本においては刑事上の法整備がされていないところですので、直ちに犯罪に当たる、当たらないと評価することはできず、中絶費用を請求できるか、ということについても、ケースバイケースです。

 

パパ活問題は弁護士にご相談を

以上のとおり、パパ活は常に危険と隣り合わせの行為であり、様々な刑事事件に発展する可能性があることも理解しなければなりません。

刑事事件は時間との勝負です。

当事者での解決ではなく、早期に弁護士に相談し適切な弁護活動を行うことが重要になります。

すでに問題が発生している、もしくはまだ問題は発生していないけれども、今後問題になりそうで悩んでいる、という場合にも是非ご相談ください。

 

 

 

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