盗撮の時効は何年?時効を待てば逮捕はされない?

犯罪には「時効」があり、これが過ぎてしまえば法律上の罪に問われることはありません。

実際に、凶悪事件の犯人が時効完成の直前で逮捕されたというニュースや、反対に事件が時効を迎えてお蔵入りとなってしまったという報道を耳にすることもありますよね。

まずはっきりと申し上げておきますが、

時効を迎えるまで逃げ切るには、『いつか捕まってしまうかもしれない』という気持ちを抱えながら長くて苦しい時間を過ごさねばなりません。

盗撮事件の解決を目指すなら、時効の完成を待って逮捕や刑罰から逃れるよりも、まずは弁護士に相談するのが得策です。

今回は「盗撮事件と時効」について詳しくご説明していきたいと思います。

時効の完成とは

時効が完成した事件は、検察官が起訴することも、裁判で罪に問うこともできません。

つまり、逮捕してもその後の手続きはまったく進行しないことになり、時効が完成した事件では逮捕されません。

時効の計算は「犯罪行為が終わった時」を起点に、1日単位で計算します。

たとえば、迷惑防止条例に該当する盗撮のケースを考えてみます。この場合、時効は3年なので、2019715日に盗撮がおこなわれたとすると、2022714日が終わった時点で時効が完成します。

時効の計算は『日』の単位でおこなわれるため、盗撮行為が午前中であったのか、午後であったのかは問われません。

しかし、『盗撮しても、時効まで逃げ切ればいい』と安易に考えていると、事態の悪化を招きます。

逃走・潜伏期間が長ければ、住居が明らかでなく、警察からの出頭要請にも応じないとして逮捕状が発布されてしまう可能性もあります。

軽微犯罪に該当する軽犯罪法違反であれば、住居が不明で出頭要請に応じないという条件を満たさない限り逮捕されないので、時効を待って逃走・潜伏することでわざわざ警察に「逮捕できる状況」を与えてしまうことになるのです。

盗撮の時効は適応される罪名によって変わる

刑罰法令における時効は、正しくは『公訴時効』といいます。

公訴時効とは、検察官が被疑者を起訴できるタイムリミットを指すため、時効が完成すると検察官は起訴できなくなります。

検察官が起訴できないということは、つまり「罪には問われない」ということです。

では、盗撮をしてしまった場合、どのくらいの時間が過ぎれば時効が完成して罪に問われなくなるのでしょうか?

◎迷惑防止条例違反の場合

盗撮事件でもっとも多く適用されるのが、各都道府県が定めている『迷惑防止条例』の違反です。

  • 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所
  • 公共の場所、公共の乗り物、学校、事務所、タクシーその他不特定または多数の者が利用し、または出入りする場所または乗り物

これらの場所で下着または身体を撮影する、または撮影する目的で撮影機器を差し向けたり設置したりすると、迷惑防止条例違反に該当します。

各都道府県によって罰則に差がありますが、東京都を例に挙げると盗撮を罰する第5条違反は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と定められています。

刑事訴訟法第250条によると「長期5年未満の懲役もしくは禁錮または罰金に当たる罪については3年」と規定されています。

(この場合「罰金に当たる罪については3年」この記述が時効を示すものになります。)

つまり、迷惑防止条例違反の場合の時効は3年です。

◎軽犯罪法違反の場合

迷惑防止条例違反と似たシチュエーションで事件化される場合、『軽犯罪法』違反の第123号違反が考えられます。

「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は軽犯罪法の第123号違反になります。

軽犯罪法の第1条違反の罰則は「拘留または科料」です。

拘留とは30日未満の自由刑、科料とは1万円未満の金銭刑で、刑罰のなかでは非常に軽い部類になります。

これを刑事訴訟法第250条に照らすと「拘留または科料に当たる罪については1年」とされているため、時効は1年です。

◎建造物侵入の場合

迷惑防止条例では「公共の場所や乗り物内でひそかに撮影する行為」をとらえ、軽犯罪法では「人が衣服をつけないでいるような場所をのぞき見する行為」をとらえることで盗撮を規制しています。

ところが、これらの条件では規制できないシチュエーションも存在します。

東京都や大阪府をはじめとした大都市では迷惑防止条例の改正が進められていますが、多くの自治体では「公共性」がない場所での迷惑行為は規制されていません。

たとえば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでの盗撮行為は「公共性がない」と判断されます。

改正された迷惑防止条例では「不特定多数の者が利用、出入りする場所」が対象になっていますが、いまだ改正がすすめられていない自治体もあります。

東京都と隣接する自治体では、神奈川県は公共性がない場所でも適用されますが、埼玉県では公共性がないと迷惑防止条例は適用外となります。

そして、迷惑防止条例が改正されていない自治体における公共性がない場所での盗撮は、盗撮行為そのものではなく「盗撮目的でその場所に立ち入ったこと」がとらえられます。

この場合、刑法の『建造物侵入罪』に問われ、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

時効は3年です。

時効を待つ間の生活はこうなる

時効さえ完成してしまえば、無罪放免で逮捕を怖れることなく生活できるそんなことを気楽に考えていられるのは今だけです。

たしかに時効が完成すれば罪には問われませんが、その間の13年という時間は非常に長くて苦しいものになります。

まず、時効を待つ時間は各種手続きをおこなうことさえ怖くなります。

例えば引っ越しなどに伴う住所変更や運転免許証の更新などは、『これで居場所がばれてしまうかもしれない』という恐れから手続きするのが難しくなってしまうでしょう。身分証を提示する場面でも同様です。

また、警察官の職務質問や検問に遭遇してしまうと、それだけでも心臓が止まりそうになるほどの緊張を感じることになります。

自分がどれだけ気を付けていたとしても、交通事故や騒音、喧嘩などのトラブルに巻き込まれてしまえば否が応でも警察官と接することになりそのたびに肝を冷やさねばなりませんね。

もしもあなたが犯罪や事故の被害者という立場であっても警察を呼ぶのが怖くなり、結果として不利益をガマンするしかなくなるのですから、何をするにも、どこへ行くにも、思い切り楽しめない生活が待ち受けています。

さらに、時効を迎える前に逮捕されてしまった場合や別の事件を起こしてしまった場合などは、被害者や警察官、検察官からの心証をさらに損ねることが想像できます。

こうなってしまえば、その後もっと長い間自分の犯した罪によって苦しむことになるのです。

時効を待つより「盗撮事件に強い弁護士」に相談するのが得策です

盗撮事件を起こしてしまった場合は「時効まで逃げ切る」という考え方は捨てましょう。

取り扱い実績が豊富な「盗撮事件に強い弁護士」に相談すれば、あなたにとってもっとも不利益が少ない解決に向けた一歩を踏み出せます。

特に、迷惑防止条例と軽犯罪法とでは刑罰の軽重に差があり、どちらが適用されるのかが重要となりますが、法律判断の要点である「公共性」について正しく判断するのは困難でしょう。正しい法律知識を持った弁護士であれば、あなたの行為がどの法令に触れ、どの程度の刑罰を受けるものなのかを判断することができます。

もしも被害者がはっきりとわかっていれば、弁護士を通じて真摯に謝罪し、示談交渉のテーブルを用意することが可能です。示談が成立すれば、被害者は被害届を取り下げるか、もしくは被害届を提出しないことを約束する流れになります。

すでに被害届が提出されている事件でも、取り下げがあれば「被害者が処罰を望まない」という意思表示になるため、継続捜査の必要がなくなり、捜査が打ち切られるでしょう。

また、被害者がはっきりとわかっていない盗撮であれば、いくら盗撮行為があったとしても罪に問うために必要な被疑者や目撃者の証言が得られず、検察官が起訴に踏み切れません。たとえ警察に自首して、任意の送致(いわゆる『書類送検』)を受けたとしても、起訴されて刑罰が科せられる可能性は極めて低くなります。

弁護士に相談することで、法律の知識に基づいて正しくアドバイスしてもらえるため、警察から逃げ回って陰に潜む生活から開放されるでしょう。

時効が完成した後、心から安心して生活できますか?

時効を迎える日が終わり、無事に時効が完成したと思っていても安心はできません。

たとえば、ある盗撮事件について「相手にバレているに違いない」と時効を計算していたとしても、その後に別の盗撮事件を起こしていて、新たに時効がスタートしているおそれがあります。

別の被害者がさらに後日の盗撮について被害届を提出しているケースも考えられます。

また、仮に一度時効成立まで逃げ切れたとしても、次同じように逃げ切れるというわけでもありませんし、何よりも自分のしてしまったことを一生「誰にも言えずに」背負って生きていかなければいけません。

目先の「逃げ得」にとらわれず、犯した罪を償いながら未来に向けて新たな一歩を踏み出しませんか?

稲葉セントラル法律事務所では、盗撮事件を起こしてしまったことを後悔し、解決に向けた行動を起こしたいと考えている方を全力でサポートいたします。