盗撮で逮捕されても前科は回避できる!
- 「盗撮事件を起こしてしまい、家族が警察に逮捕されてしまった」
- 「盗撮がバレて警察で取調べを受けた、その日は帰されたが逮捕されないか不安だ」
こんなトラブルに直面していませんか?
盗撮がバレてしまい警察沙汰になると、刑事裁判へと発展し、有罪が確定すれば刑罰を受けることになります。
これがいわゆる「前科がつく」といわれる状態です。
前科がついてしまうと、社会生活においてさまざまな不利益を被ることになるため、できればそんな事態は避けたいところですが、盗撮が事実ならやはり刑罰は避けられないと思うでしょう。
ところが、盗撮で逮捕されても、警察に任意で取調べを受けていても、前科を回避する方法があります。
ここでは、盗撮事件で前科を回避するための方法を紹介します。
Contents
盗撮事件を起こしても前科がつかないことがある?
盗撮事件を起こすと、どんな罪に問われるのでしょうか?
考えられる罪名は3つです。
- 都道府県が定める迷惑防止条例違反
- 軽犯罪法で定める窃視の罪
- 不法な目的で建物や敷地に侵入する建造物侵入罪
犯行当時の状況によって適用される罪名は変わりますが、有罪が確定すれば最低でも「拘留または科料」という刑罰が下されます。
拘留は1か月以内の身体拘束、科料は1万円以下の金銭刑で、刑罰としては非常に軽いものですが、それでも前科がつくことには変わりがありません。
前科がつくことのデメリット
前科がついてしまうと、さまざまな不利益を被ることになります。
前科がつくことで、一定の職業においては欠格事由となり就職できなくなります。
たとえば医師などの国家公務員は、禁固刑以上の前科は欠格事由に該当するためその職を失うことになります。
また、すでに就職をしていたとしても、社内の規則によっては「故意の犯罪によって刑罰を受けた場合は解雇する」と定められていることがあります。
国家公務員・地方公務員なら懲戒免職の対象に、一般企業でも懲戒解雇が下されるおそれがあるのです。
無罪判決に期待するべきではない!
裁判で前科がつかないためには、無罪判決を勝ち取る必要があります。
「疑わしきは罰せず」ともいいますが、残念ながらわが国の司法制度では無罪判決を勝ち取る可能性は非常に低くなっています。
裁判所が公開している平成29年度の司法統計によると、第一審がおこなわれた刑事事件の総数は69,295件で、有罪判決が49,335件、無罪の件数はわずか110件のみです。
ここから単純に計算すると有罪の確率は約71%となります。
平成29年中に結審しなかったものや、同一被告人に対する併合事件などがあるため単純計算では有罪率は計算できませんが、おそろしく高い確率で有罪判決が下されることは間違いありません。
無罪事件といっても、証拠が明確ではないものだけではなく、捜査機関の証拠収集に問題があった場合なども含まれているため、ドラマのように無罪を勝ち取るといったケースはごく少数だと言わざるを得ないでしょう。
被疑者自身が「間違いなく盗撮の事実はあった」という事件に関しては、まず無罪を勝ち取ることなど期待するべきではありません。
前科をつけないためには起訴を避ける対策が重要
盗撮事件で前科をつけたくないのであれば、刑事裁判で無罪を争うことに過分の期待をしてはいけません。
無罪を主張して勝ち取るには、大変な労力が必要で、しかも確実に無罪を勝ち取ることができるわけではありません。
前科をつけないためには、刑事裁判に発展させない対策が大切です。
刑事裁判に発展させないためには、検察官に起訴までする必要はないと判断させることが重要となり、被害者との示談の成立が不可欠だといえます。
実は、示談の成立は、原則的に刑事裁判を提起しないことの要件ではありません。
示談とは加害者と被害者の間でおこなわれる民事的な話し合いであって、刑事処分とは本質的に関係がないのです。
しかし、示談の成立はつまり「謝罪してもらって相応のお金を受け取ったので、加害者の処罰は望みません」という被害者の意思表示でもあります。
示談の成立に伴って、被害者が処罰を求める意思を失うと、罰を与えるまでの必要性がなくなってしまいます。
そのため、初犯であれば、示談が成立した事件で検察官が起訴に踏み切ることは少なく、検察官に起訴までする必要がないと判断させる最強の武器となるのが示談の成立なのです。
盗撮事件で前科がつかないケース
ここでは、盗撮事件を起こしても前科がつかないケースを検討していきましょう。
世間でいわれている「これって前科がつかないの?」というパターンも検討していくので、ぜひ参考にしてください。
早い段階で示談が成立している
盗撮事件で逮捕された場合でも、逮捕から間を置かずに示談成立に持ち込めば、前科の回避を期待できます。
もし、逮捕の当日や翌日の間に示談が成立すれば、警察が検察庁に送致する書類に含まれる「情状意見」に「すでに示談が成立しており、厳重な処罰を必要としない」といった内容が記載されます。
警察からの情状意見は、必ずしも検察官がそのとおりに処分を決めるわけではありませんが、処分を決める参考になるので、情状意見で良い印象を作ることはとても大切です。
また、逮捕されない任意事件であれば、書類のみを送致される、いわゆる『書類送検』までに示談が成立すれば、警察が検察庁へ送致しないという手続きも可能です。
警察が送致を取りやめて警察署限りで事件をお蔵入りしてくれれば、前科がつくことはありません。
逮捕後の『微罪処分』は可能?
逮捕後に示談が成立すれば『微罪処分』になって前科がつかない、という話を聞いたことはありませんか?
微罪処分とは、犯情軽微で被害が僅少な事件において、被疑者が反省して被害を弁済し、被害者が処罰を求めていないことを条件に、検察庁には送致せず報告のみにとどめる手続きのことです。
具体的には、次のような条件があります。
「犯情が軽微であること」
窃盗・詐欺・横領・暴行・常習ではない賭博など、軽微な犯罪であり、特に悪質性もないものであることを指します。
「被害が僅少であること」
窃盗や詐欺などの財産犯であれば被害金額が少ないもの、暴行であれば凶器を使用せず被害者が負傷していないことなど、対象の犯罪においても特に被害が少ないことを意味します。
なお、被害金額は都道府県警察の運用によって異なりますが、おおむね1~2万円が上限となっています。
「被疑者が反省していること」
被疑者が真摯に反省し、被害者に謝罪をおこなっていることが大切です。
「被害を弁済していること」
金銭的な被害が発生していれば弁済または買取りがなされている、暴行などでは病院の診療費の負担が約束されているなどが必要です。
「被害者が処罰を求めないこと」
被疑者の謝罪と被害弁済を受けて、被害者が「厳しい処罰までは希望しない」と意思を示している必要があります。
これらは一般的によく知られている微罪処分の要件ですが、さらに重要な項目があります。
それが
「逮捕・告訴告発・自首事件ではないこと」
という要件です。
逮捕・告訴告発・自首が関わる事件は、それぞれの手続きが重大な刑事手続きであるため、微罪処分によって警察署限りとなることになじみません。
告訴告発・自首事件に関しては、たとえ被害者が被害を取り下げたとしても検察庁に送致する義務があるなど、厳格な手続きが求められています。
そもそも、盗撮事件において考えられる迷惑防止条例違反・軽犯罪法違反・建造物侵入罪が微罪処分の対象ではないため微罪処分は不可能です。
ですから「盗撮事件で逮捕されても微罪処分が期待できる」といった認識は間違いであると心得ておきましょう。
証拠が明らかではない
盗撮事件の証拠は、おおむね次のようなものが考えられます。
これらの証拠が揃っていない場合、検察官が起訴をためらうため、不起訴処分になる期待が高まります。
被害者や目撃者の供述がはっきりしている
被害者や目撃者が、警察からの事情聴取で理路整然と犯行の状況を説明できていることが大切です。
被害者や目撃者の供述は『物』としての証拠ではありませんが、検察官が裁判所に書類を提出して認定されれば証拠として扱われるため、物的証拠と同じように価値を持ちます。
被害者と目撃者の供述が合致していない、被害者が被害状況をはっきりと説明できない、防犯カメラの映像などと照らし合わせると不合理であるなどの状況があれば、被害者や目撃者の供述の信用性は著しく低下して証拠としての価値が薄れます。
スマートフォンなどに盗撮の記録が残っている
迷惑防止条例では、盗撮を目的にスマートフォンなどの機械を被害者に向けるだけでも処罰されることがあります。
ただし、検察官は「スマートフォンを向けていた=必ず起訴」と判断するわけでもありません。
やはり、確たる証拠をつかんでいるからこそ強気で起訴ができるため、スマートフォンなどに盗撮の記録が残っていることを重視します。
少し難しく感じるのであれば、交通違反の取り締まりをイメージしてください。
道路交通法では、走行中にスマートフォンやカーナビゲーションの画面を注視していると画像注視という違反になります。
しかし、実際にカーナビゲーションの画面を見ていたからといって強引に違反処理をする警察官はごく稀です。
なぜなら、カーナビゲーションの画面を注視していたという証拠が「警察官が現認した」という状況しかないからです。
検察官の起訴は、市民のひとりを刑罰に処するか否かの重要な行為ですから「盗撮していたように見えた」というだけでは起訴には踏み切れないのです。
たとえ示談が成立していなくても、証拠が弱いと処分保留などの実質的な不起訴処分が下される可能性が高まるのです。
急いでスマートフォンの記録を消せば証拠は隠滅できるのか?
盗撮が疑われた段階で、すかさずスマートフォンなどの記録を消去すれば、とりあえずは証拠がない状況を作り出せます。
たとえその場で警察官が確認しても、やはり記録は消去されているためはっきりとした証拠は隠滅できるでしょう。
ところが、警察の捜査はあきらめてくれません。
逮捕された段階で、スマートフォンなどの犯行に関連する物品は『差押え』という手続きによって押収されます。
押収された証拠品は、さまざまな方法で解析を受けることになるため、消去した画像や動画も復元されるおそれがあります。
最近では、記録した画像や動画を自動的にインターネット上のストレージにアップロードする機能もあるので、機械本体の記録だけを削除しても証拠隠滅は完成しません。
もし、急いで盗撮の証拠を削除すれば「証拠隠滅をはかった」と評価されて逮捕のおそれが強まり、警察官や検察官、裁判官からの心証も悪くなります。
焦って記録を削除したとしても「動揺して削除してしまった」と正直に供述したうえで、示談交渉に力を入れるほうが賢明だといえます。
盗撮事件で前科を避けるには弁護士のサポートが重要!
盗撮事件で前科がつくことを避けるためには、早急に弁護士のサポートを受けるべきです。
なぜ弁護士の協力があれば前科がつくことを回避できるのでしょうか?
示談交渉がまとまりやすい
盗撮事件の被害者は、被疑者に対して嫌悪感や恐怖を抱いているケースが多く、被疑者本人やその家族から示談を求められても強く拒絶される傾向があります。
相応の慰謝料や示談金を提示しても「お金が欲しいのではない、処罰を受けて欲しい」と拒絶されることが多いため、示談交渉が難航します。
そもそも、警察は基本的に加害者に対し、被害者の連絡先等を教えてくれません。示談交渉すらできないのが現実です。
そこで、示談交渉を弁護士に一任すれば、弁護士が警察にかけあい、警察から被害者に連絡先の開示の有無を確認します。連絡先の開示の了承がとれれば、弁護士は警察から被害者の連絡を聞いて連絡が出来ますので、被害者側が警戒することなく話し合いのテーブルを設けられます。
さらに、当事者同士では被害者側が法外な慰謝料や示談金を提示するケースもありますが、弁護士に示談交渉を任せれば、過去に起きた同様の事件の相場を提示するなど、合理的に賠償額を下げることも期待できます。
有利な証拠を収集できる
弁護士のサポートがあれば、被疑者に刑罰を科す必要はないという有利な証拠の収集が期待できます。
たとえば、被疑者の供述に基づいて「盗撮はしていない!」という主張を裏付けてくれる参考人の意見を捜査機関や裁判所に提出することが可能です。
また、被疑者の家族などから「今後は絶対に犯罪を起こさせないように監督します」といった誓約を含めた嘆願書の作成も可能です。
再犯のおそれが弱まれば検察官が厳しい処分を避けることも期待できるため、前科を回避できる可能性が大いに高まります。
盗撮の事実があっても前科は避けられる!
盗撮の疑いで逮捕されても、逮捕されず任意で取調べを受けているにしても、弁護士のサポートがあれば前科がつく可能性を出来るだけ下げることは出来ます。
しかし、弁護士のサポートにはある程度の時間の余裕が必要です。
特に、盗撮の疑いで逮捕されてしまった場合は、まずは逮捕後の48時間が最初の勝負です。
検察庁への送致までに示談を成立させて被害者の処罰意思を否定すれば、前科がつく事態を避けられる可能性は大いに高まります。
送致後であっても、検察官から不起訴を勝ち取るには示談の成立がもっとも有効で、不起訴を勝ち取る証拠の収集も弁護士のサポートは不可欠です。
盗撮事件の被疑者として捜査の対象になっている、家族が盗撮事件を起こして逮捕されてしまったという方は、早急に稲葉セントラル法律事務所にご相談ください。
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まずは弁護士にご相談ください
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