前科一犯の意味とは?周囲と将来への影響

「前科がつく」、「前科一犯」など、ふだん何気なく使っている言葉ですが、そもそもどういう場合に前科がつくのでしょうか。

逮捕されると前科がつく?示談が成立すると前科がつかない?

また、前科がついたことが他人にバレてしまうのか否か、も実はご存じないのではないでしょうか。

そこで本日は、「前科がつく」ということの意味とその影響を解説します。

 

「前科」&「前歴」の意味

「前科」も「前歴」も、実は法律上明確な定義というものはありません。
しかし、具体的な影響は生じますのでその観点から説明をしていきます。

「前科」とは

前科とは、確定判決により刑が言い渡されたというその事実のことをいいます。
ちなみに刑というのは、懲役刑や禁固刑のみならず、罰金や科料(かりょう)も含まれます。なお、執行猶予が付いたか否かは全く関係ありません。
また、逮捕・勾留をされても、最終的に不起訴処分となった場合には前科はつきません。

「前歴」とは

前歴とは、警察や検察などの捜査機関によって、被疑者として捜査対象になったというその事実のことをいいます。
つまり、「前科」よりも概念としては広いものとなります。
たとえば、逮捕・勾留はされたけれども最終的に不起訴処分となった場合などは、上述したとおり前科はつきません。しかし、被疑者としての捜査対象にはなっているので、前歴はつくということになります。
前歴は前科と違い、捜査機関内部の情報にとどまるものです。

 

前科に関する素朴な疑問と周囲への影響を解説

ここでは、前科に関わる素朴な疑問と、まわりへの影響について説明します。

前科がついたという記録は消えないのか?

確定判決により刑が言い渡された場合、市町村役場で運用されている「犯罪人名簿」というものに登録がなされます。
さてさて、この記録は一生残り続けるのでしょうか?

実は前科は、一定の場合その抹消が認められ“刑が消滅”します。なぜなら、一生前科が消えないとなると、その人の更生の妨げになる可能性があるからです。

具体的には、

  • 刑の執行終了又は免除後一定期間(禁固以上は10年、罰金以下は5年)を罰金以上の刑に処せられることなく経過したとき(刑法第34条の2)、又は、
  • いわゆる実刑ではなく執行猶予付きの判決の場合はその執行猶予期間が経過したとき(刑法第27条)、

に刑が消滅します。
つまり、この時に市町村役場で運用されている「犯罪人名簿」からも抹消されるのです。

具体的影響としては、たとえば、履歴書の賞罰記入欄にも「なし」と書けるようになるのです。

ただし、警察と検察庁に記録としては残り続けます。この記録の有無は、当然一般人が調べられるようなものではなく、現実の生活に影響はありません。
しかし、新たに犯罪を犯した場合などは不利な扱いとなる可能性があります。

前科は周囲にバレないのか?

原則として、本人からの申請がない限りは前科・前歴の有無を確認する方法はありません。
したがって本人以外が前科・前歴の有無を調べることはできないのです。

前科があることにより制限を受ける職業はあるか?

前科があることは、資格制限の事由となる場合があります。
国家資格者や国家公務員等は、欠格事由として前科に関わる内容が定められている場合が多いです。

選挙権に関する制限はあるのか?

一定の前科がある場合、選挙権及び被選挙権の制限も受けます。そもそも市区町村で保管されている犯罪人名簿は、当初は選挙権に関する制限を確認するために保管されていたものでした。

海外渡航に関する制限はあるのか?

日本では、一定の前科があることによりパスポート発給の制限を受けたりする可能性があります。
また、他国へ入国する際にも制限を受ける可能性があります。制限の厳しさはそれぞれの国によって異なります。

 

前科がつくのか否かのケーススタディ

以下では具体的なケースをみながら説明します。

自動車のスピード違反は前科になる?

前科にはなりません。

軽微なスピード違反の場合、反則金を支払うことになります。
この「反則金」は刑事罰の「罰金」とは異なります。
「反則金」は道路交通法上の特殊な制度であり、通告に応じて納付すれば刑事手続を免れることができます。

「示談の成立」と前科との関係は?

示談とは簡単にいうと、当事者同士が話し合いを行い金銭的賠償をもって解決することです。

この示談の成立と前科がつくか否かは直接的には関係がありません。

しかし、示談の成立は検察による起訴・不起訴の判断に大きな影響を与えます。
示談が成立することにより、成立しない場合に比べて不起訴となる可能性が高まるのです。
不起訴となるということは、すなわち前科がつかないということです。

なお、日本の場合、起訴されたときに有罪となり前科がつく確率、いわゆる有罪率は99.9パーセントにも及びます。

 

早くに弁護士へ相談することのメリット

「前科がつく」ことは、その人の人生に大きな影響を与えます。
そして、「前科がつくか否か」は将来を見通して、その時々で適切な判断ができるか否かにかかっています。
とくかく早い段階で専門家たる弁護士へ相談することでとりうる選択肢、可能性を広げられることは間違いないといえます。