痴漢で逮捕されてしまった場合の解決の糸口とは? 痴漢逮捕の流れと解決法

つい何か月か前に、痴漢の疑いのある男性が女子生徒に追っかけられてホームを全力疾走する動画が話題になっていましたね。SNSでもかなり拡散されていたようです。

電車通勤をしていると、このような痴漢の逮捕の瞬間を目の当たりにした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、自分もいつか冤罪に巻き込まれてしまうのではないかと心配しながら電車通勤をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今日はそんな痴漢事件の逮捕の流れについてお話ししたいと思います。

 

痴漢はどんな罪になるのか?

痴漢事件は痴漢の程度によってどの罪に該当するかが決まります。

まずひとつは、「迷惑防止条例違反」です。身体を少し触ってしまった…など軽度の痴漢行為は、この罪に該当する可能性があります。
迷惑防止条例違反は各都道府県によって刑罰が異なります。ちなみに、東京都の場合は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。

次に該当する可能性がある罪は、「強制わいせつ罪」です。
下着に手を入れて触ってしまった…など痴漢行為が悪質であると判断された場合は、この罪に該当する可能性があります。ちなみに、この強制わいせつ罪は、たとえ初犯であったとしても、実刑判決を受けてしまう可能性があり、実刑判決を受けてしまうと、6か月以上10年以下の懲役に処されます。

 

痴漢で逮捕された場合、どのような流れになるの?

 

 

こちらの図は、痴漢などの刑事事件で逮捕された場合の一般的な流れとなります。

痴漢逮捕の流れ①:逮捕

逮捕には3種類あります。

 

一番多いのが現行犯逮捕

痴漢事件に一番多いのが現行犯逮捕です。

現行犯逮捕とは、事件発生時に逮捕されることです。犯行中や犯行直後ですと、逮捕状なしで逮捕することが出来ますので、一般人でも逮捕をし、捜査機関に引き渡すことが可能になります。

 

通常逮捕の可能性もある?!

現行犯逮捕されるケースと比較すると、通常逮捕をされるケースというのは少ないです。とはいえ、例えば被害者より被害届が出され、なおかつ防犯カメラの映像などで確固たる証拠が写っており、後日逮捕をされた場合などがあります。つまり、証拠さえそろえば当然に後日逮捕される可能性はあるのです。防犯カメラを見て、どの改札から出ているか確認できれば、通勤定期やSuicaの情報を確認することも出来ますし、追いかけられて、焦って身分証を落としてきてしまった…というケースでは、身元を突き止められるのも時間の問題です。

 

 

逮捕されると、警察で取り調べがおこなわれ、警察官が48時間以内に釈放するか検察官に送致するかを決定します。

 

「微罪処分(びざいしょぶん)」となる可能性

状況によっては、「微罪処分(びざいしょぶん)」で済む可能性もなくはないです。「微罪処分(びざいしょぶん)」の場合、厳重注意はされるものの前科はつきません。しかし、痴漢事件に関しては、微罪処分になる可能性はほぼほぼないと考えておいたほうがよいでしょう。

 

駅員室に連れて行かれる=逮捕?

「駅員室に連れて行かれたら現行犯逮捕されてしまう!」と思っている方は多いでしょう。現に、電車内の痴漢を疑われた場合は、駅員より駅員室に連れていかれ、駅員から連絡を受けた警察官が、到着後そのまま警察署で取り調べ…といった流れが多いです。つまり、駅員室について行ってしまうと、そのまま現行犯逮捕をされる可能性が十分にあるということです。

また、冤罪であった場合は、駅員室に連れて行かれることで、目撃者を探すことが出来なくなってしまうため、証拠を集められず今後の状況が不利になる可能性があります。

 

逮捕を免れるために線路を逃走するケース

痴漢事件というと、「逮捕されたら終わり」というイメージが強くついている昨今では、現行犯逮捕を免れるために、線路を逃走するケースが増加しています。ニュースでもよく取り上げられていますよね。
このような行動は、極めて危険な行動なので、絶対にやめてください。
線路には高圧電流が流れている可能性もありますし、線路を逃走することによって、逮捕された際に「威力業務妨害」や「従来危険罪」などの罪にも問われることとなってしまいます。

 

痴漢逮捕の流れ②:送致

 

検察官に送致されると、今度は検察で取り調べがおこなわれます。検察官は、24時間以内に「起訴」をするか、「不起訴」にするか、「釈放」して在宅事件に切り替えるか、「裁判所へ勾留請求」をするかを決定します。ただ、逮捕されてまだ72時間以内となるので、このタイミングでの「起訴」は非常に稀です。

送致には、「捜査で集めた書類や証拠とともに、身柄ごと検察官に引き渡される送致(身柄送検)」と「身柄は釈放し、在宅事件扱いとして、捜査で集めた書類や証拠のみを検察官に引き渡す送致(書類送検)」の2種類があります。

「送検」という言葉の方が、テレビで使用されることが多いので、聞き覚えがあるかもしれません。

身柄ごと検察官に引き渡された場合は、24時間以内で決定が下されますが、在宅事件扱いとなる場合は時間が決まっていないため、検察から呼び出しを受けることで取り調べを行い、捜査の終了後決定が下されることとなります。

 

痴漢逮捕の流れ③:勾留

 

身柄ごと検察官に引き渡され、24時間以内に取り調べが終わらなかった場合や、取り調べをおこなったうえで、証拠隠滅や逃走の恐れがあるとみなされ、身柄の拘束が必要だと判断された場合は、「裁判所へ勾留請求」をされてしまう可能性があります。

勾留が認められてしまうと、なかなか家には帰れません。原則10日間、延長が認められるとさらに10日間…と、最長20日間を留置所で生活し、取り調べをうけることになります。

勾留期間中は、本人への取り調べ以外にも、関係者への取り調べ、実況見分、自宅や勤務先での家宅捜索などの捜査がおこなわれます。

 

痴漢逮捕の流れ④:起訴

 

検察は、捜査の結果、本当に犯罪をしたか否か、反省の有無、犯行状況や示談状況の有無などの一切の事情を考慮し、起訴か不起訴かを判断します。

不起訴になれば、この段階で身柄が解放され、前科もつきません。起訴された場合は、約1か月後から裁判が開始されます。

日本の刑事裁判の有罪率は99.9%と言われています。起訴をされてしまうと、有罪は免れることが出来る可能性は非常に低いんです。

ちなみに、比較的軽度な痴漢事件(迷惑防止条例違反)の場合は、罰金刑が妥当であると判断される可能性があります。このような処分を、略式起訴と言います。略式起訴となる場合は、検察から略式起訴で良いか本人に確認があった上での処分となります。

書類上での簡易的な手続きとなることや、裁判所に出向かなくてもよい点、公判(テレビドラマで見るような裁判)がないので、外部に事件が漏れにくい点、罰金刑になるので、懲役にならない点などのメリットがありますが、争う機会がなくなる分、ほぼ確実に有罪になってしまうというデメリットもあります。

ここでひとつ覚えておいてほしいことがあります。それは、“検察官が言っていることに間違いは一切ないと思わない限り、略式起訴に同意してはいけない”ということです。。また、略式起訴では裁判所より罰金刑を言い渡されますが、有罪は有罪なので、当然前科はつくのです。

 

盗撮逮捕の流れ⑤:裁判

 

起訴をされてしまった場合、刑事裁判手続きとなります。起訴まで勾留をされていた場合は、さらに約1か月後の裁判まで勾留が続きます。(被告人勾留)

ちなみにこの時、保釈請求をして保釈が認められれば、保釈金を払った上で保釈となりますが、証拠隠蔽の可能性が高かったり、逃亡する恐れがあるなどと判断されてしまった場合は、保釈が認められないこともあります。

 

基本的には、罪を認めている場合、裁判は1日で結審(すべての審理が終了すること)し、約1週間前後で判決が言い渡されることが多いですが、認めなければもちろん裁判は長引きます。

判決内容は事件内容や、示談の有無、様々な事情を考慮した上で判断されますので、罰金刑や執行猶予が付されることもあれば、実刑判決が下される場合もあります。

とこのような流れになります。

 

痴漢冤罪の恐ろしさ

痴漢事件の中で、大きな問題となっているのが「痴漢冤罪」です。10年以上前に、冤罪事件を題材とした「それでもボクはやってない」という映画がありましたが、この映画を見てショックを受けた方も多いと思います。この痴漢冤罪は、誰の身にも起こる可能性のあるものであり、とくに電車通勤をしている人であれば、その可能性は大幅に上がります。痴漢冤罪には、人違いや勘違いなどの場合もありますが、中には示談金を目的とする詐欺に巻き込まれる可能性もあるんです。

 

痴漢冤罪に巻き込まれないためには?

では、痴漢冤罪で疑われないためには、どうしたらよいのでしょうか。

一番は、痴漢に間違えられるような行動をしないこと。

当たり前のようですが、やはりこれにつきます。満員電車の中で、自分の手が周囲から見えるようにしておいたり、出来るだけ女性の近くに立たないようにするだけで、巻き込まれる可能性は格段に低くなると言えます。少しの工夫で自分の身を守ることが出来るかもしれません。

 

痴漢冤罪の疑いをかけられてしまったら?

どんなに注意をしていたとしても、痴漢冤罪に間違えられる可能性は決してゼロとは言い切れません。では、もし痴漢冤罪の疑いをかけられてしまったらどうしたら良いのでしょうか。

現場から立ち去るというのは、現行犯逮捕を避けられる可能性はあるかもしれません。しかし、逃げた結果、結局現行犯逮捕をされてしまったり、防犯カメラに逃げている映像が残っていたことが決め手となり、後日逮捕をされた場合などでは、否認したとしても、信用してもらえない可能性が高いです。逃げることによって、 痴漢事件に関与していると裏付けられてしまう可能性があるのです。

まずは、相手方に対する誠意ある行動を心掛けましょう。その上で、冷静に犯行を一貫して否認し、可能であれば、会話を録音することも有効です。痴漢冤罪を主張するにあたり証拠を作っていくのは、非常に大事な行動と言えるでしょう。

 

弁護士に依頼した際のメリット

痴漢事件は、現行犯逮捕が多いため、緊急な対応が必要となります。そのため、いくら対処方法を頭に入れてたとしても、パニックに陥ってしまうことは致し方ないことです。

そんな時に冷静な判断で不起訴となるために尽力出来るのが弁護士です。

弁護士は、接見(面会)をして、ご本人様とお話させていただいた上で、取り調べに対してのアドバイスをしたり、ご本人様が連絡のとれない外部との連絡役などのサポートをします。また、有利な事情をできるだけ早期に集め、検察官と話すことで状況を把握し、仮に勾留請求をされてしまったとしても、異議申立ての手続きをし、一刻も早い釈放を目指して活動します。

 

さらに、弁護士に依頼をすることによって、被害者と示談交渉ができる可能性が非常に高くなります。被害者との示談が成立すれば、不起訴処分になる可能性は大幅に高くなりますし、仮に起訴をされてしまったとしても、判決にあたって大きな判断材料となってきますので、示談交渉ができるかどうかは非常に重要なポイントになると思います。

 

まとめ

痴漢事件は、最初の対応が非常に重要となってくる犯罪となります。特に、身に覚えのないことで事件に巻き込まれてしまった場合は、なおさら冷静な判断ができない状態になってしまうと思います。間違った対応をしてしまう前に、出来るだけ早いタイミングで弁護士に相談をした方がよいでしょう。