Googleマップに悪質な口コミを書かれた!削除の方法を弁護士が解説

「Googleマップ上に理不尽な理由で低評価をつけられた」
「検索したときに予測変換で悪評が出てくる」

GoogleマップやGoogle検索で自社を検索したとき、根拠のない悪評が表示され悩んでいる経営者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そのような問題のうち、「Googleマップ上の悪質な口コミ」を削除することについて主に説明いたします。

①Google口コミとは?

消費者庁による平成29年版「消費者白書」によれば、

20代から60代の年代全ての60%以上が、口コミやレビューを「参考にする」と回答しています。

そのうち、若い世代の方が、商品やサービスを購入するかどうかにあたって、口コミ等を決め手にしたと回答している割合も多いです。

これは平成29年度に国が実施した調査ですが、当時からEC等もかなり普及していますし、ネットネイティブ世代も増えてきていることから、ますますこのような傾向に進むと言えるでしょう。

②悪いGoogle口コミを放置する危険性

⑴ Google口コミを放置する対外的な影響

前記のとおり、消費者の一定数は、口コミ等を参考にしていることが分かりました。そうすると、新規顧客獲得だけではなく、既存顧客維持についても影響が出るということもあり得ます。

実際、弊所に相談に来られた企業様でも、「取引の際にお客様が、口コミの内容に言及してきたことがあった。」などと悩まれていることがありました。

⑵ Google口コミを放置する対内的な影響

悪い口コミの中には、従業員を名指しで指摘し、悪口を書き込むことがあります。これらを放置すると、半永久的に全世界に発信され続けることになるため、書き込まれた従業員としては、「会社は守ってくれない。」と感じられたり、働くことのモチベーションの低下にもつながるおそれがあります。

③Google口コミの実際の書込み事例

当事務所にご相談をいただいた口コミの例は以下のとおりです。

「(この会社の従業員は)不良の集まりだ、態度も悪く、ろくな仕事をしないで客を困らせている」

「○○氏は詐欺師で、気づいたら契約書にサインさせられお金を取られてしまった」

④Google口コミの個人での削除可否について

誰でもGoogleに対して口コミの削除申請をすることは可能です。

その方法は以下の通りです。

※ご自身でGoogleプロフィールマネージャー(旧Googleマイビジネス)のアカウントを持たれている方は、この管理者画面から削除を申請することが可能です。

  • 問題となる口コミのページを開くと、当該口コミの欄の右上に「…」と表示されているのでこれをクリック
  • クチコミを報告をクリック
  • 当該口コミで問題となる表現の種類を選択し、「送信」をクリックする

例:いじめ、嫌がらせ/人種差別、ヘイトスピーチ

※このページの最下部に「法的な問題を報告する」とありますが、これは具体的な権利侵害を法的根拠に基づき説明する必要があります。

  • Googleの判断を待つ

この判断に際しては、数時間以内で対応してもらえることもあれば、数日かかることもあります。

★自分で削除申請をすることの注意点

上記で説明した手法は、Googleに削除してもらえるかどうか判断を委ねるものですから、具体的な困っている状況を説明できないまま、削除してもらえないという結論になるおそれがあります。
この点、③の※で記載したように「法的な問題を報告する」を選択するとしても、法律の解釈に従った記述が必要となり、単に「困っています」「悩んでいます」というだけでは不十分と判断されるおそれもあります。
また、後述するように、口コミ一つひとつを削除するだけではなく、投稿者を明らかにして、今後の書込みをやめるよう交渉しなければならないような事案では、当該口コミを削除してしまうと必要な証拠がなくなってしまうというおそれもあります。
口コミの削除に成功しても、これに反感を抱いた投稿者が更に悪質な口コミをするなどの危険もあり、やはり削除をするにしても、その方針を弁護士と共に決定していく方が良いケースもあります。

お問い合わせ

⑤削除不可のクチコミに対しての対処方法について

繰り返しになりますが上記4で説明した内容については、あくまで、問題となる口コミの内容が、Google側が設けているポリシーに違反しているかどうかをGoogleに対して委ねるものですから、こちらがどのような被害を受けているか具体的に説明することが難しいです。その結果、「削除してもらえなかった」という方も散見されます。

そこで、以下の手段をとることが考えられます。

(1)良い口コミの投稿を増やす、または当該口コミに対して返事をして、悪質な口コミを相対的に目立たないようにする

こちらはあくまで法的な手段ではありませんし、問題となる口コミは残ってしまいますが、費用をかけず取りうる手段として紹介します。特に丁寧な対応で当該口コミに対して返事をすることで、事情を知らない読み手としては「丁寧な会社だ」などと評価してもらえることもあります。

※書き込まれた内容から、書き込んだ人物が分かるような事案もあると思われますが、その人物の個人情報(氏名や住所、契約内容など)を書き込んだ上で反論をすると、逆に相手方から権利侵害だと訴えられる可能性もあるため、あくまで反論は一般的な内容に留めるべきです。

(2)弁護士に依頼して、具体的な権利侵害を説明する

上記4の※で記載したように、より具体的な権利侵害をGoogleに対して説明するため、弁護士に依頼するという手段です。

Google側にも、「書き込まれて困っている人が、弁護士に依頼してまで当該口コミを削除しようとしているのだ」と判断し、かつ、具体的にどのような権利侵害が生じているのか理解させることができます。

(3)裁判を提起した上で削除請求

もっとも、⑴の手段であってもやはり削除されるべき投稿かどうかについての判断はGoogle側ですので、これでも削除されないということであれば、裁判所に判断してもらおう、ということになります。

具体的には、一般的には「投稿の削除の仮処分」を裁判所に申し立てることになります。

※従来、Googleに対して裁判手続きをとる場合、Google LLC.のアメリカ本社を相手方にする必要があり、登記の取得や翻訳など、裁判手続きに相当の時間が必要でした。

しかし、2022年7月、Googleが日本に会社登記を行ったため、これらの手間がなくなり、比較的スムーズに裁判手続きをとることが可能になりました。

⑥削除だけではなくて、誰が投稿したのかを明らかにしたい(開示請求)

嫌がらせ目的で投稿してくる人物は、一度削除申立てが認められたとしても、これに対して反発して、「より悪質な投稿を書いてやろう」と考えることもあり、いたちごっこになる可能性もあります。また、アカウントを複数発行して、複数のコメントを投稿することもあり得ます。

そのような場合には、誰が投稿したのかを明らかにした上で、当該人物に対して名誉毀損等で損害賠償を請求するとともに、交渉の過程で今後の投稿をやめさせるよう訴えかけていくしかありません。

そのためには、投稿者を明らかにすることが必要ですが、これについては、上記4のように、申請フォームがあるわけではなく、裁判手続きをとる必要があります。※2022年10月に施行されたいわゆる新プロバイダ制限責任法によって、従来より迅速に裁判手続きをとることが可能となっています。

もっとも、注意点があります。

(1)口コミを削除するよりもハードルは高い

投稿者が誰かを明らかにする、ということは、当該投稿者の氏名、住所を明らかにしてもらうということです。もちろん当該投稿者にもプライバシーがあるので、これを開示させるには、「そのプライバシーを明らかにしても良いくらい、そのコメントが問題で権利侵害の程度が甚だしい」と判断されることが必要です。

(2)裁判手続きに必要な証拠を集める必要性がある

発信者を明らかにする裁判手続きを行うためには、証拠収集が必要です。この点、口コミが削除されてしまうと、本来必要であった証拠がなくなってしまうという恐れもあります。「口コミをスクリーンショットしました」というだけでは不足してしまうおそれもあります。

⑦弁護士による風評被害・誹謗中傷対応

今の世の中では、インターネットの匿名性をいいことに、相手の感情を考えずに悪口を書き込むことが横行しています。いわば、「書き込んだ者勝ち」「書かれた側は泣き寝入り」という風潮があり、私としては大きな社会問題であると考えています。

当事務所では、このような権利侵害に対して、全力でサポートしております。

上記4でご説明したように、ご自身で削除対応することも可能ですが、すべての削除申請が通るわけではなく、また、前記のとおり、削除しただけでは問題が解決しない、証拠がなくなってしまうということもありえます。

そのようなお悩みに対して、取り得る手段とその見通しをお伝えしながら、具体的な方策を共に考えつつご説明させていただきますので、問題となる投稿を発見された際には、早急にご相談されることをおすすめいたします。

お問い合わせ

SERVICE取り扱い業務

NEWS新着情報

PAGE TOP