弁護⼠による債権回収について

債権回収は、基本的には、債権者が債務者に対して未払いの代金や借金の返済などを求めるプロセスを指します。債権回収は一見単純に思えても、様々な法的手続きが必要であり、特に債務者との交渉や督促、強制執行といったプロセスは、専門的な知識と経験が求められます。

そのため、債務者との交渉や、裁判所への訴訟提起等など、債務者とのトラブルや法的問題を解決するために、弁護士に依頼することは、債権を回収するための有効な方法です。

この記事では、債権回収の手続きや放置するリスク、弁護士の対応や依頼するメリットなどなどについて詳しく解説します。

1. 債権回収について 

1-1. 債権回収のつの方法

債権回収は、一見煩雑なプロセスに思えますが、基本的な流れを理解することでスムーズに進行させることが可能です。債権回収の方法は大きく分けて4つ存在します。

 

①任意交渉: まずはじめに採られる方法で、債権者自身や弁護士が債務者と直接交渉し、借金の返済を求めます。これには電話やメールによる連絡、書面による督促などがあります。

 

②専門家への依頼:弁護士に回収を依頼します。弁護士は債務者との交渉や法的手段を用いた回収を行います。

 

③裁判所を通じた回収: 任意で債務者が返済しない場合、債権者は裁判所を通じて債務者に対して請求をすることができます。。その方法としては、裁判所を通じた話合いである民事調停や、支払督促、訴訟といった複数の手続きが用意されており、状況に応じた選択が必要となります。

 

④強制執行: 裁判所が債務者に対して支払いを命じたにもかかわらず、債務者がそれに従わない場合、債権者は裁判所から強制執行を申し立てることができます。これにより債務者の財産を差し押さえたり、給与の一部を差し押さえたりすることができます。

 

これらの手続きには時間と費用が必要となります。特に、申立てや手続き、財産の調査等は専門的な知識が必要となるため、弁護士への依頼が推奨されます。弁護士は裁判所との連絡や手続きをスムーズに行い、債権者の権利を最大限に守るための支援を行うことができます。

 

 

 2. 債権回収を放置する危険性

2-1.  企業における債権放置のリスク – 法的トラブルの可能性

企業経営においては、貸し倒れは大きな問題となり得ます。貸し倒れとは、企業が債権(貸したお金や商品・サービスの対価)を回収できない状況を指します。これは通常、債務者(借りた側)が経済的に困難な状況に陥り、債務の弁済ができない場合に発生します。

 

貸し倒れの結果として債権が放置されると、その分だけ企業のキャッシュフローが悪化します。これは直接的に企業の財務健全性を損なうため、経営に大きな影響を及ぼします。積み重なった債権が会社の流動性を損ない、最悪の場合、倒産に繋がることさえあります。

 

また、放置された債権は時効によってその回収が困難になるリスクもあります。日本の民法では、一般的に債権の時効は5年または10年と定められています。そのため、放置期間が長くなると債権回収は難しくなるため、早期の対応が必要です。

 

2-2.  リスクを避けるための債権回収のポイント

企業が債権の回収不能リスクを避けるためには前述の通り早期の対応が大切となります。手

 

ただし、債権回収は専門的な知識と技術を要します。適切な法的手続きを進めるためには、専門の弁護士への依頼が有効です。弁護士の支援により、企業は法的なトラブルを回避し、債権回収を円滑に進めることが可能となります。

 

また、企業間の取引は継続的なものも多く、任意で請求するか、訴訟等の裁判手続きに移行するか、難しい判断を強いられる場合があります。債務者との関係性や債権回収可能性も踏まえ、適切な方法を選択することが重要です。

 

以上のポイントを心に留めておくことで、企業は債権回収に伴うリスクを最小限に抑え、経営の安定を図ることが可能となります。

 

3. 弁護⼠による債権回収対応

 31. 債務者との初期段階の交渉

債務者との初期の交渉段階は、債権回収プロセスの中で非常に重要なフェーズとなります。

この段階で弁護士が果たす役割は大きく、その法律知識と交渉力を最大限に活用して、双方にとって最適な支払い条件を設定することが求められます。

 

具体的な手法としては、まず債務者の経済状況を詳細に把握することから始まります。

 

基本的には全額一括での支払いを求めるべきではありますが、多くの債務者は十分な視力がないため、分割での弁済を検討する必要があります。弁護士は債務者の資産や収入、生活状況を聞き取り、その上で現実的な返済計画を立案します。どのような方法を選択するかによって、回収できる債権額を最大化することは、弁護士の腕の見せ所です。

 

また、弁護士による巧みな交渉によって円滑な合意が形成されれば、時間と費用がかかる訴訟を避けることができます。これにより債権者は更なる金銭的損失を最小限に抑えることが期待できるだけでなく、債務者との関係を維持することも可能となります。これは特に、債務者が重要な取引先である場合などに有効な手法となり得ます。

 

3-2.  法的手続き

 交渉が難航し、債務者が支払い条件に合意しない場合や、最初から支払いを拒否する債務者に対しては、弁護士は法的手段を用いることが求められます。この時点で、弁護士の役割は一転し、法的手続きを通じた債権回収へと移行します。

 

この訴訟手続きは、数多くの準備とプロセスを含むため、その専門的な知識と経験が重要となります。

 

まず第一に、弁護士は債権のもととなる契約を証明するための証拠を収集します。この証拠とは、契約書や債務者と債権者の間の通信記録はもちろん、一見すると債権の存在との関係性の把握が難しいものも含まれ、専門的な視点で訴訟を優位に進められるよう、収集活動を行っていきます。

 

これらの証拠を基に、弁護士は訴状を作成します。この訴状は、債務者に対する請求の正当性を明示するための公式の文書であり、裁判所に提出されます。

 

訴状の提出後、裁判所は債務者に対して訴状を送付します。これにより、債務者には正式に訴訟が開始されたことが通知され、法的手続きが進行していきます。

この一連の流れは、時に長期間に及ぶこともありますが、結果的には債務者に対する強制的な債務返済を可能にする重要なプロセスとなります。

 

3-3.  強制執行による最終的手段

 訴訟が進み、最終的に裁判所から債務者に対する判決が下されたとします。しかし、残念ながら、債務者が自主的に支払いを行わないケースが珍しくありません。このような場合、弁護士は次のステップ、すなわち強制執行へと進むことになります。

 

強制執行は、裁判所の判決に従わない債務者に対する法的な強制手段です。具体的には、不動産・動産の差押え、その売却といった手続きや、給与債権の差押えといった手続きがあります。

 

強制執行を開始するには、まず弁護士が裁判所に執行申立てを行い、その承認を得る必要があります。その上で裁判所から発行される執行命令書に基づき、弁護士は執行官らと協力して、債務者の財産の差し押さえや売却を進めます。

 

強制執行は、債務者が裁判所の判決に従わない場合の最終的な手段であり、債務者の資産から直接債権を回収することを可能にしますが、この過程は複雑で時間もかかります。

 

3-4.  強制執行の複雑な過程

 強制執行の過程が複雑で時間を要する理由にはいくつかの要素があります。

 

まず、債務者の財産を特定するためには、権利関係を正確に把握する必要があるため、時間を要します。

 

次に、執行手続き自体が複数のステップからなるために時間がかかることがあります。債務者の財産を差し押さえるには、まず裁判所に執行申立てを行い、その許可を得る必要があります。

 

また、財産が物理的に存在する場所に差し押さえの通知を送る必要があったり、場合によっては裁判所の執行官が現地に出向いて具体的な差し押さえ作業を行うこともあります。

 

さらに、差し押さえた財産が売却されるまでには、さらに時間がかかることが多いです。具体的な売却方法は財産の種類によりますが、一般には公的な競売が行われます。これには適切な競売日を設定し、競売の公告を行い、購入希望者を募るというプロセスが必要で、これらもまた時間を要します。

 

以上のような理由から、強制執行の過程は複雑で時間を要すると言えます。それらの手続きをスムーズに進めるためには、法律の知識と経験、そして具体的な手続きに精通した専門家のサポートが不可欠となります。

 

 4. 債権回収問題は弁護⼠にご相談を

 債権回収問題を弁護士に依頼するメリットは多岐に渡ります。

 

まず第一に、債権回収の適切な方法を選択し、具体的な手続きを効率的に進めることができます。これには、債務者との交渉、督促郵便の発送、裁判所への訴訟提起、差押えの申し立てなどが含まれます。また、弁護士は債務者とのトラブルを未然に防ぎ、問題が発生した場合でも迅速に対応し、解決に導くことが可能です。

 

次に、弁護士を通じて債権回収を行うことで、企業自体の法務負荷を軽減することができます。法律事務所は書類作成や郵便の送付、裁判所とのやり取りなどの業務を代行することが可能です。これにより、企業の経営者や従業員は自社の本来の事業に専念でき、時間の節約に繋がります。

 

これらのメリットを考えると、債権回収問題を弁護士に依頼することは、非常に有益であると言えるでしょう。

 

稲葉セントラル法律事務所では、債権回収問題に強い弁護士が豊富な経験と確固たる知識で、クライアントの様々な課題を解決してきました。

 

債務者との交渉から強制執行まで、債権トラブルの全般に対応できるワンストップのサービスを提供します。

 

企業の規模や業種に関係なく、あらゆる問題を把握し、対策を提案することが可能です。また、解決策を提供するだけでなく、企業の将来的なリスクを予防し、持続可能なサポートすることができる顧問契約も行っております。

 

見積もり依頼は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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