著作権侵害への対処法:弁護士のアドバイスとその重要性

著作権侵害は法的な問題であり、深刻な結果をもたらす可能性があります。本記事では、著作権侵害の基本から、侵害行為の放置がもたらす危険性、そして弁護士がどのように対応するかについて詳しく解説します。また、法的問題への対処法として、なぜ弁護士への相談が重要であるのかについても掘り下げます。

1. 著作権侵害について

1-1. 著作権侵害とは:代表的な5つの事例

著作権は、人々が独自に生み出した創作物(思想又は感情を創作的に表現したもの)(法律的には「著作物」といいます)について、その創作物を作り出した人に対し、認められた権利を指します。著作者以外の人が、著作者の文章、音楽、画像、映画などの作品を著作者の承諾なく無断で複製や公開する行為は、一般的に法律により禁止されています。

①無断転載の写真:

例えば、ウェブサイトで、他人が撮影した写真を記事に無断で使用した場合、これは著作権侵害に当たります。また、特定の個人の写真などはその被写体個人から掲載することに対し承諾がなければ肖像権の侵害という問題も発生します。

写真は著作物としての保護を受けており、著作者からの許可なく利用することは違法です。

結果として、ウェブサイト運営者は著作権者から差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。

②無許可のキャラクター使用:

会社が特定のキャラクターのイラストを自社の商品やパンフレットに無断で掲載した場合、これもまた著作権侵害に当たります。

キャラクターのイラストも著作物として保護されており、その使用には原作者からの許可が必要です。もし許可無く使用した場合、損害賠償請求等民事上の責任だけでなく、刑事罰を受ける可能性もあります。

③動画の無許可公開:

自分のウェブサイトやソーシャルメディアで他人の動画を許可なく公開した場合も、これは著作権を侵害する行為となります。

特に動画共有サイトから直接ダウンロードして再アップロードするケースは問題とされています。

その結果、サイト運営者は著作権侵害により、損害賠償請求だけでなく、刑事罰が科される可能性もあります。

④無許可の音楽使用:

他人の音楽を自分の作成した動画(映像作品等)に付け加える行為や、パブリックスペースでの無許可の演奏(非営利かつ無料、無報酬での演奏は除く)なども、著作権侵害に当たります。音楽も著作物としての保護を受けており、その使用には著作者(作詞家や作曲家:実際は音楽著作権を管理するJASRACの許諾)からの許可が必要です。著作権の中に演奏権という権利も含まれており、著作権者の承諾なしに「公衆に直接聞かせることを目的」に音楽を演奏すれば著作権侵害になってしまいます。

無許可の使用や演奏は、結果として、制作した映像作品等が削除されたり、損害賠償請求を受ける可能性があります。

⑤違法コピーと配布:

映画、ソフトウェア、書籍などの違法コピーとその配布も、明らかな著作権侵害です。

特にインターネットを通じた大規模な違法コピーと配布は、著作権者に甚大な損害を与え、刑事罰を伴う場合もあります。

 

以上のように、個人や法人を問わず、日常生活や業務の過程の中で思わぬところで、侵害行為を犯してしまっている場合があります。また、侵害しているのは分かっているけど、この程度であれば問題にならないだろうと考えている場合もあるかと思います。

特にネット上では情報が急速に広まるため、問題が大きくなるケースも少なくありません。

 

したがって、不必要なトラブルを避けるためにも、自分自身がこの領域について理解を深め、日々注意深く行動することが求められます。
また、著作権者側であれば、日常的に自己の書作物が無断で利用され、本来であれば得ていたであろう経済的利益を失っていたり、著作物が悪用され著作者の意図しない転載により作品の意図が捻じ曲げられてしまっており、著作者人格権が侵害されてしまっている場合もあります。

 

また、このテーマに関する疑問や不安がある場合は、弁護士などの専門的な助言を求めることも大切です。

 

1-2. インターネット上の現状

インターネットの普及により、情報のアクセスが容易になった一方で、著作権侵害の問題も増加しています。

特にSNSやYouTubeなどのプラットフォームでは、ユーザーが無断で他人の作品を投稿するケースが頻発しています。

これらの行為は、音楽、映像、写真、イラストなどのコンテンツの正規の制作者や権利者の権利を侵害し、時には損害賠償請求や刑事罰の対象となります。

企業や事業者もまた、自社サイトや広告で他人の著作物を無断で利用するトラブルが増えています。
これに対する対策としては、適切な許諾を得る、自社でオリジナルのコンテンツを作成する、リンクや引用を正しく行うなどが挙げられます。

また、無許可で配信される海賊版も深刻な問題となっており、楽曲や映画、漫画などが対象となっています。
これに対しては、文化庁が法改正や海賊版対策の強化や相談の受付などを行っています。

しかし、インターネット上での著作権侵害の現状は依然厳しく、個々のユーザーだけでなく社会全体で対策を講じる必要があります。

 

1-3. 著作権侵害の罰則

著作権侵害は、許可なく他者の創作物を使用した際に発生しますが、その場合、著作権法によって、刑事罰が科される可能性があります。

具体的には著作権・出版権・著作隣接権の侵害の行為に該当する場合、刑事罰として最高で懲役10年又は1000万円の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。(著作権法第119条1項)

企業が著作権侵害を行った場合、その責任者も法的な罰を受ける可能性があります。これには経営者や情報管理者が含まれます。

具体的には、著作権法第120条に基づき、法人の代表者や実質的な指揮を執る者が法人による著作権侵害行為を故意に指導または容認した場合、個人として罪を問われる可能性があります。

罰則は懲役または罰金となり、前述した個人が直面する罰則と同程度です。

また、法人による侵害の場合(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く)は、侵害行為者個人とは別に、3億円以下の罰金と定められています。

ここで注意すべきは、「故意」であることが要件となっている点です。つまり、知らずに他人の著作物を複製し、それを頒布したとしても、その行為が「故意」でなければ、この罰則は適用されません。しかし、「知らなかった」ことを理由にして法的責任を逃れることは困難であり、適切な知識と理解が必要となります。

また、著作権侵害には民事上の責任も伴います。被害者は、侵害者に対して損害賠償請求を行うことが可能であり、裁判によって損害賠償額が認定されます。これには、侵害行為によって著作権者が受けた直接的な損害だけでなく、侵害行為によって生じた利益も含まれる場合があります。

これらの規定は、著作権者の権利を保護し、創造的な表現の自由を守るための重要な法制度です。インターネット上の情報共有が容易になった現代では、著作権法の理解と遵守が一層重要となっています。

 

2. 著作権侵害を放置する危険性

2-1. 放置された著作権侵害:企業への影響

著作権侵害は企業にとって深刻な問題であり、自社のコンテンツが他人に無断で利用される場合や、自社が他人の作品を無許可で複製・使用し、著作権法に違反する可能性がある場合、すぐに対策を講じる必要があります。侵害行為を放置すると、自社の経済的損失が増大し、また、権利者から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

裁判所が権利者からの損害賠償請求や差止請求を認めた場合、企業にとっては金銭的なダメージだけでなく、場合によっては、ネット上で侵害行為の情報が拡散され企業イメージが著しく毀損され、業績に大きな影響を与える可能性があります。

また、従業員に対する情報教育とコンプライアンス意識の徹底が不可欠です。企業は、自社の業務とコンテンツが著作権法の規定に違反しないかどうか判断する能力を持つ弁護士や専門家の助けを求めるべきです。

権利侵害行為は、企業の評判や信頼性を毀損する可能性がありますし、自社の著作権が侵害されている場合には、権利を守り経済的損失を防ぐためにも、侵害行為に対しては断固とした姿勢で挑むべきです。

 

2-2. 企業における知的財産権の侵害と訴訟リスク

知的財産権とは、発明やデザイン、商標などの創作物や技術に関連する権利を指し、これらの権利は特許権、商標権、著作権、意匠権などとして保護されます。

しかし、これらの知的財産権が侵害される場合、企業にとって大きなリスクとなります。

例えば、自社で開発した製品やサービスが第三者により不正に利用されたり、自社の商標が無断で使用されたりすると、企業の競争力やブランド価値が損なわれ、経営に大きな影響を及ぼします。

更に、侵害行為が発生した場合、その訴訟や紛争の解決には専門的な知識と多大な費用が必要となります。

そのため、企業は知的財産の保護や侵害防止対応のための法務策を重視し、弁護士や弁理士など専門の事務所と相談しリスクを低減する方法を取ります。
自社の知的財産が適切に登録され、万全な保護を受けているかのチェックも重要です。

しかし、保護だけではなく、他社の知的財産権を侵害しないようにするための対策も必要です。

特許出願の内容や商標登録の一覧などを確認し、他人の権利を侵害しない商品開発や販売活動を行うことが求められます。
これらの対策により、企業は知的財産権の保護と侵害のリスクから自社を守ることが可能となります。

 

3. 弁護士による著作権侵害の対応

3-1. 著作権侵害にあった場合の具体的な解決方法5つ

著作権侵害が発生した場合、具体的な解決策は複数存在します。その際には、侵害行為の詳細や影響範囲、著作権者の意向等に応じて最適な手段を選択し、必要に応じて弁護士の専門的な対応を求めることが一般的です。

1)差止請求(著作権法112条)

侵害行為が発生した際の対応策として、まず「差し止め請求」が考えられます。これは、侵害行為を行った当事者に対し、その行為を即時に停止するよう要求する法的手段です。例えば、無断で利用された著作物がウェブサイト上に掲載されている場合、ウェブサイトの運営者に対し、該当のコンテンツを削除するよう求めることが可能です。

2)損害賠償請求(民法709条、著作権法114条)

次に、侵害行為により著作権者が受けた損害の補填を求める「損害賠償請求」があります。これは、著作権侵害によって著作権者が直接的な損害(例えば、売り上げ減少)や間接的な損害(例えば、ブランドの信用失墜)を受けた場合に、その損害の補填を求めるものです。

3)不当利益返還請求(民法703条、704条)

さらに、著作権侵害者がその行為によって不当に得た利益がある場合、その利益を返還させる「不当利益返還請求」を行うこともあります。例えば、侵害者が著作権侵害行為により高額な利益を得ていた場合、その利益の一部または全額を著作権者に返還させることを求めることが可能です。

4)名誉回復措置請求(民法723条、著作権法115条)

また、名誉の回復を図るためには、侵害行為を行った側に対し、その行為を公に認め、謝罪するなどの行動を求めることもあります。これにより、社会的な評価の回復やブランドのイメージ修復を図ることが可能となります。

5)刑事責任の追及(著作権法119条、124条)

これらの交渉が難航する場合や、相手方が要求を無視する場合には、法的手段として刑事告訴も選択肢となります。

 

3-2. 刑事告訴について

企業が他人の著作物を無断で利用した場合、著作権者はその企業に対し損害賠償請求を行うことが可能です。

ただし、著作権侵害はただの民事問題だけではなく、深刻なケースでは刑事事件として捜査されることもあります。具体的には、著作権者やその代理人(多くの場合、弁護士)が警察や検察に対して告訴を行い(著作権法123条)、その結果として企業やその代表者が刑事責任を問われ、罰金や懲役に処せられる可能性があります。(著作権法124条)

著作権侵害の要件は以下の4つです。
・著作物である
・著作権がある
・著作権が及ぶ範囲で利用または侵害されている
・利用者が著作物を利用する権限がない

上記の要件すべてが満たされている場合でも、告訴が受理され、すぐに刑事手続きにつながるわけではありませんが、こうした流れは、著作権者が弁護士と相談した上で、企業の違法行為を明確に示す証拠を持っていることが重要です。

このように、著作権侵害に対する解決策は多岐にわたります。

個々の状況や目的に応じて最適な方法を選択し、弁護士との相談を通じて適切な対応を行うことが重要です。

そして、著作権侵害は重大な法的問題であるため、法的な知識を有する弁護士の助けを借りることは、事態の解決にとって極めて有益であると言えるでしょう。

 

4. 著作権侵害については弁護⼠にご相談を

著作権侵害について弁護士に相談することには多くのメリットがあります。弁護士は著作権法や関連する法律に精通しており、具体的な問題や紛争に対する適切な対応策を提案することができます。

例えば、自社の著作物が無断で利用されたとき、弁護士はどのような法的手段が利用可能であるか(例:差止請求、損害賠償請求等)、どのような手続きを進めればよいのか具体的にアドバイスを提供します。また、他人の著作物を利用する際には、著作権法に適合した方法で行われるべきであることを明示することができます。

加えて、弁護士は紛争が訴訟にまで発展した場合の対応もサポートします。訴訟は専門的な知識と経験を必要とするため、弁護士の支援なしに進行することは難しいです。

弁護士は企業の顧問弁護士としても機能し、著作権をはじめとする知的財産権の管理や保護をサポートします。これにより、企業は法的なトラブルを未然に防ぎ、ビジネスの安定的な運営を支えることができます。

以上のように、著作権侵害について弁護士に相談することは、法的な問題解決のための重要な一歩となります。

 

稲葉セントラル法律事務所では、紛争解決のための差止請求や損害賠償請求、刑事弁護等、各々の事例に応じた最適なサポートを行っています。

また、企業の規模や業種に関係なく、あらゆる問題を把握し、解決策を提供するだけでなく、企業の将来的なリスクを予防し、持続可能なサポートすることができる顧問契約も行っております。

さらに、法務管理の一環として、著作権侵害に関する企業向けの体制整備や社内教育にも取り組んでいます。

見積もり依頼は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

弁護士としての専門的な知識と経験を活かし、皆様の問題解決に全力で取り組みます。

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