放課後等デイサービスに求められる日本版DBS(こども性暴力防止法)への対応
1.日本版DBS(こども性暴力防止法)とは
日本版DBS(こども性暴力防止法)は、子どもと日常的に接する業務に従事する者について、性犯罪歴等の確認を行い、子どもへの性暴力を未然に防止することを目的とした制度です。
近年、教育・保育・福祉の現場における性犯罪が社会問題となっており、子どもの安全を確保するための仕組みとして創設されました。
本制度では、対象事業者が採用時や一定の期間内に特定職員の犯罪事実確認を行い、その結果を踏まえて適切な配置や採用判断を行うことが想定されています。また、犯罪歴確認だけではなく、職場における性暴力防止体制の環境整備や相談体制の構築なども重要な要素とされています。
今回取り上げる放課後等デイサービスは、学校に就学している障がい等のある子どもを対象に、授業終了後や終業後に生活能力向上のため必要な訓練、社会との交流促進など行う施設であり、子どもと密接に関わるサービスであることから、日本版DBS(こども性暴力防止法)への対応が特に重要となる事業の一つです。
こども性暴力防止法においては、すべての事業者が法律で定める性暴力防止の取り組みの義務がある、いわゆる「法定事業者」と、民間等の施設が申請を行い国から認定を受けて当該取り組みを行う「認定事業者」と、二つの事業者が存在します。
詳細は関連記事をご覧ください。
関連記事:日本版DBS(こども性暴力防止法)はいつから?対象や認定方法を弁護士が解説
2.放課後等デイサービスを行う事業者は何をすべき? 確認すべき制度の対象範囲
そもそも放課後等デイサービスとは、児童福祉法上の「障害児通所支援事業」として定められているところ、こども性暴力防止法の「法定事業者」は、そのうち都道府県知事から指定を受けたものであり、その指定を受けていないところは「認定事業者」として対応を進めていくことになります。
つまり、「放課後デイ」と称していても、都道府県知事からの指定の有無により取るべき対応が異なりますので、注意が必要です。
3.放課後等デイサービスは日本版DBS(こども性暴力防止法)を確認するだけでよいのか?
結論からいえば、法律の内容だけを確認すれば十分というわけではありません。
放課後等デイサービスでは、法律の施行の対応と併せて、事業全体のコンプライアンス体制を見直すことが重要です。
このうち、従業員や新規採用者の犯罪歴に関する情報は、非常に慎重な取扱いが求められる個人情報です。
取得や管理の方法を誤るとトラブルにつながる可能性があります。
さらに、運用方法によっては労働法上のトラブルや採用時の不適切な取扱いにつながる恐れもあるため、関連する法令を踏まえた対応が必要です。
4.放課後等デイサービスが日本版DBS(こども性暴力防止法)に対応するための流れ
放課後等デイサービスが日本版DBS(こども性暴力防止法)へ対応する際には、次のような流れで準備を進めることが望ましいでしょう。
① 制度の対象となるか確認する
まず、上記の基準に従い、認定事業者であるならば、法人として認定を受けるかどうかの判断を行います。
対象範囲や必要な対応を正しく把握することが、準備の第一歩です。
② 現状の運営体制を確認する
職員の配置や採用方法、個人情報の管理体制などを確認し、日本版DBS(こども性暴力防止法)への対応が必要な部分を整理します。
③ 必要な社内規程を整備する
制度開始に合わせて、
• 就業規則
• 採用規程
• 個人情報管理規程
• 性暴力防止に関する社内ルール
などを見直し、職員が適切に対応できる環境を整えます。
④ 職員への周知・研修を実施する
制度の目的や対応方法について、管理者だけではなく現場職員にも共有し、事業所全体で理解を深めることが重要です。
⑤ 継続的に制度を見直す
制度開始後も、法改正やガイドラインの改訂が行われる可能性があります。
一度整備して終わりではなく、継続的な運用改善を行うことが重要です。
5.こども性暴力防止法への対応を弁護士に相談するメリット
日本版DBS(こども性暴力防止法)は新しい制度であり、運用方法について悩む事業者も少なくありません。
弁護士へ相談することで、
-
- 各事業所が対象となるかの確認
- 必要な規程や運用ルールの整備
- 個人情報保護法を踏まえた犯罪歴情報の適切な取扱い
- 採用や配置に関する労働法上のリスクへの対応
- 保護者や職員への説明方法の検討
など、多角的なサポートを受けることができます。
特に放課後等デイサービスでは、子どもの安全確保と事業運営の両立が求められるため、12月の制度開始までに専門家へ相談し、適切な対応体制を整えておくことが有効です。
6.最後に
稲葉セントラル法律事務所では、放課後等デイサービスをはじめとする児童福祉事業者の皆様が、子どもの安全を守るための体制を適切に整備できるよう、日本版DBS(こども性暴力防止法)への対応について、事業者の皆様に寄り添いながらサポートいたします。
まずは、お気軽に当事務所までご相談ください。