離婚後の生活・お金はどうする?

1.はじめに

岩手県の令和5(2023)年人口動態統計月報年計 によれば、令和5年度の岩手県における離婚件数は1,488組でした。これは、1000人に1人以上が離婚している計算となります。
離婚をするにあたって、関心の高い問題はお金に関することだと思います。

例えば、婚姻期間中、生活に必要となるお金の全てまたは大半を配偶者の収入に頼っていた場合、離婚後どのように生活していけばよいのかという不安があるかと思います。

そこで、本記事では、離婚をするにあたって夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産はどのように分配されるのか、また、離婚した後に、元配偶者に対して請求できる金銭はあるのかといった点について解説します。

2.離婚後や離婚に伴って請求できるもの

⑴ 財産分与請求

「財産分与」とは、離婚に際して、婚姻生活の中で夫婦が築き上げてきた財産や所有物を、夫婦間で分けることを言います。

財産分与は、①清算的財産分与、②扶養的財産分与、③慰謝料的財産分与の3つの性格があります。

① 清算的財産分与

清算的財産分与は、夫婦の共同生活中に形成された共有財産の清算を目的とする財産分与です。
夫婦間の寄与率によって財産分与の割合を決めることになりますが、実務上ほとんどの場合、この割合は2分の1となります。

対象となる財産は、「共有財産」(762条2項)であり、例えば、土地や建物などの不動産、自動車や預貯金などがあげられます。

他方、婚姻前から一方が有していた財産と、婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産は「特有財産」といい、夫婦の共有の財産とならないので、財産分与の対象になりません(762条1項)。

特有財産にあたるものとして、結婚する前の財産、結婚中に相続・贈与で得た財産や、別居後に得た財産があげられます。

② 扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、離婚することで一方が生活に困窮してしまう事情がある場合に、補助するという扶養的な目的により財産が分与されることをいいます。

扶養的財産分与は、経済力に乏しい専業主婦(主夫)であったり、一方が病気であったりする場合に認められることがあります。また、経済的に強い立場の配偶者が、離婚後も一方を扶養する目的のため、一定額を定期的に支払うということがあります。

③ 慰謝料的財産分与

慰謝料的財産分与とは、夫婦の一方が被った精神的苦痛を加味して行われる財産分与のことを言います。

例えば、一方が不倫をした、一方からDVを受けたなど、夫婦間で慰謝料問題が発生している場合に、共同財産の清算のなかで、慰謝料問題を解決する場合に行われることがあります。しかし、実務上は、財産分与請求とは別に慰謝料請求を行うことが多いです。

⑵ 慰謝料

慰謝料とは、加害者の有責行為により精神的苦痛を被った場合に、その加害者に対して請求できる損害賠償のことをいいます。

離婚における慰謝料は、相手に離婚に至った原因があり、相手の行った行為に不法行為(709条)が成立する場合に、有責配偶者(離婚に至った原因を作った者)に対して、精神的苦痛を被ったもう一方の配偶者が請求できます。

例えば、不倫や浮気、配偶者に対する暴力行為、悪意の遺棄(生活費用を渡さないなど)といった事情が考えられます。

⑶ 年金分割

年金分割とは、婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の「年金保険料」を離婚時に分け合う制度です。

相手より収入が低かった場合や専業主婦の場合は年金分割をしておくと、将来年金を受け取るときに加算してもらえるため、「年金分割」は離婚後の重要な財産となります。

年金分割において、離婚時に分割できるのは厚生年金部分のみとなり、年金分割の方法は2種類あります。

① 合意分割

分割の割合を当事者間で話し合い、話し合いの結果、合意によって決まった割合となります。

② 3号分割

サラリーマンの妻である専業主婦の方など、国民年金法上の第3号被保険者であった方からの請求により、年金を分割する方法です。分割の割合は2分の1ずつとなります。

年金分割の手続きは、原則として、離婚等をした日の翌日から2年を経過すると、請求できなくなります。

また、既に離婚等が成立し、相手方が死亡した日から起算して1カ月を経過すると請求できなくなります。
そのため、離婚をするにあたって、年金の分割についても当事者で話あっておくことが重要です。

3.子育てはどうすればいい?

親と子は直系の血族にあたりますので、互いに扶養する義務を負います(民法877条1項)。

夫婦が離婚しても子どもと一緒に生活しない親も、子どもに対する扶養義務の一環として養育費を支払うことになります。そのため、離婚した後も元配偶者に養育費を請求することができます。

養育費とは、簡単に言えば、子供が自立するまでに必要となる費用です。

期間の目安は、今は概ね20歳とする合意が多く、子供が大学に通う場合には、協議の上で、子供が大学を卒業するまでとすることもあります。

金額は、両親双方の収入を基準に決めることが多いです。

このように、離婚しても、子供に対して養育費を支払わなければなりませんが、こども家庭庁の令和3年度全国ひとり親世帯等調査 によると、離婚した夫婦で養育費の取り決めをしているのは、母子世帯で 46.7 %、父子世帯で 28.3 %にとどまっています。

さらに、養育費の受給状況については、離婚した父親から養育費を現在も受けている人の割合が 28.1 %で、離婚した母親からの養育費を現在も受けている人の割合は 8.7 %と、当初決めた養育費の支払いが続く割合は低いと言えます。
養育費を受ける権利は子どもの正当な権利です。離婚後もしっかり養育費を支払ってもらうために、養育費の取り決めの際に公正証書を作成することや、強制執行を行うことも可能です。養育費でお困りの場合は、是非弁護士にご相談ください。

4.弁護士にご相談ください

離婚をしたいと思っても、離婚後の生活や子育てなど、金銭面や生活面での不安が大きいと思われます。

弁護士にご相談いただければ、資産の状況などから、具体的に財産分与を請求することができる金額がいくらになるのか、慰謝料を請求することが出来るかなどをアドバイスさせていただきます。

また、養育費についても、養育費算定表に基づき、双方の年収やお子様の人数に応じて公平な金額を算出させていただきます。

離婚後にもらえるお金がいくらになるのかを知ることによって、離婚にむけて動き出すことができると思います。

弊所では、初回の相談(60分)は無料です。ぜひお気軽にご相談ください。

 


 

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