飲酒運転(酒気帯び運転・酒酔い運転)は刑事犯罪であり懲役刑・罰金刑・行政処分という複数の制裁が科されることがあります。「どのくらいの刑罰がかかるのか」「刑罰を軽減する方法はあるか」という疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では飲酒運転の刑罰の相場・酒気帯びと酒酔いの違い・軽減できるケース・弁護士相談のポイントを解説します。
飲酒運転・酒気帯びの刑罰の相場
飲酒運転の刑罰は刑事処分(懲役・罰金)と行政処分(免許停止・取消・違反点数加算)に分けられます。両者は別の手続きで行われるため刑事で不起訴になっても行政処分が科されることがあります。
刑事処分の相場として、酒気帯び運転・初犯・事故なしのケースでは略式命令による罰金刑(30〜50万円程度)が相場です。酒酔い運転・初犯・事故なしのケースでは罰金50〜100万円程度または執行猶予付き懲役刑が科されることがあります。事故あり・前科あり・常習的なケースでは懲役実刑になる可能性があります。
行政処分の相場として、酒気帯び運転では呼気濃度に応じて13〜25点の違反点数が加算されます。25点以上の場合は免許取消(欠格期間2年)、13点の場合は免許停止90日間が科されます。酒酔い運転では35点が加算されて免許取消(欠格期間3年)が科されます。
刑事処分・行政処分はともに生活に深刻な影響を与えます。弁護士に依頼することで刑事処分の軽減を目指すことができますが行政処分は刑事処分とは独立して行われる点に注意が必要です。
酒気帯びと酒酔いで異なる3つの刑罰
酒気帯び運転と酒酔い運転では刑事罰・行政処分・前科への影響という3つの面で異なります。「酒気帯びなら軽い」という認識は誤りであり両方とも深刻な処罰が科されます。3つの違いを詳しく解説します。
- 刑事罰(懲役・罰金)の違い
- 行政処分(免許停止・取消・違反点数)の違い
- 前科・犯罪歴への影響の違い
刑事罰(懲役・罰金)の違い
酒気帯び運転(道路交通法117条の2の2)の法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。初犯・事故なしのケースでは罰金30〜50万円程度の略式命令で終わることが多いですが前科あり・常習的なケースでは懲役刑が科されることがあります。
酒酔い運転(道路交通法117条の2)の法定刑は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。酒気帯び運転より法定刑が重く初犯でも罰金ではなく執行猶予付き懲役刑が科されることがあります。酒酔い運転は「正常な運転ができない状態」であるため悪質性が高く評価されます。
酒気帯び運転か酒酔い運転かの区別は呼気中のアルコール濃度と「正常な運転ができない状態かどうか」によって判断されます。呼気1リットル中0.15mg以上が酒気帯び・体にアルコールの影響が出て正常な運転ができない状態が酒酔いです。どちらが適用されるかで量刑が大きく変わるため弁護士による争いが重要になります。
行政処分(免許停止・取消・違反点数)の違い
酒気帯び運転の違反点数は呼気中のアルコール濃度によって異なります。基準値以上0.25mg未満の場合は13点(免許停止90日間)・0.25mg以上の場合は25点(免許取消・欠格期間2年)が科されます。
酒酔い運転の違反点数は35点であり免許取消・欠格期間3年が科されます。免許取消処分を受けた場合は欠格期間が終了した後に免許の再取得が必要となりますが再取得のための試験・手続きが必要です。
行政処分は刑事処分とは独立した手続きで行われます。刑事で不起訴または罰金刑になっても行政処分は別途行われることが多いです。免許を失うことは運転を業務とする人・通勤に車が不可欠な人にとって生活に直結する深刻な影響をもたらします。行政処分に不服がある場合は行政不服申立てという手段がありますが認められる可能性は高くありません。
前科・犯罪歴への影響の違い
酒気帯び運転・酒酔い運転はいずれも刑事事件として処理されるため有罪判決(罰金刑を含む)が確定すると前科がつきます。前科がつくと就職・資格取得・海外渡航などに長期的な影響が生じます。
酒酔い運転は法定刑が重いため有罪判決の場合の前科の影響も大きくなります。懲役刑(実刑)が確定した場合は身体的拘束を伴うため就業・家族への影響も甚大です。
前科による法的な不利益は「刑の言い渡しの効力の消滅」という制度によって一定期間後に解消されます。罰金刑の場合は納付から5年間再犯がなければ法律上の不利益が解消されます。しかし社会的・心理的な影響は長く続くことがあります。前科をつけないためには弁護士に依頼して不起訴処分を目指すことが最善策です。
同乗者・車両提供者への刑罰
飲酒運転の刑罰は運転者本人だけでなく同乗者・車両提供者・飲酒提供者にも及ぶことがあります。
飲酒した運転者の車に同乗した者(同乗者)には「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることがあります(道路交通法117条の2の2)。飲酒の事実を知りながら同乗した場合に処罰の対象となります。初犯・軽微なケースでは不起訴になることが多いですが事故あり・飲酒の事実を知っていたことが明確なケースでは起訴されることがあります。
飲酒した者に車を提供した者(車両提供者)には「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」という運転者より重い罰則が科されることがあります(道路交通法117条の2)。飲酒した者にアルコールを提供した者(飲酒提供者)には「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることがあります。
「乗っているだけ・貸しただけ・飲ませただけ」という認識は法律上通用しないことがあります。飲酒運転に関係した全ての人が刑事責任を問われる可能性があることを理解しておくことが重要です。
飲酒運転・酒気帯びの刑罰を軽減できるケース
飲酒運転の刑罰を完全になくすることは難しいですが弁護士の活動によって処分を軽減できる可能性があります。処罰を軽減できる可能性が高いケースを3つ解説します。
- 初犯・事故なし・示談成立の場合
- 自首した場合・反省の態度が明確な場合
- 弁護士に依頼して不起訴・罰金軽減を目指した場合
初犯・事故なし・示談成立の場合
飲酒運転の初犯・事故なし・被害者との示談成立というケースは処罰が軽減される可能性が最も高いケースのひとつです。この条件が揃えば不起訴処分(起訴猶予)になることがあります。不起訴になれば前科がつかず罰金の支払いも不要です。
示談が成立しているケースでは被害者が「加害者の処罰を求めない」という意思を示すことになり検察官の不起訴判断に大きく影響します。弁護士が早期に示談交渉を行い速やかな示談成立を実現することで不起訴処分の可能性が高まります。
事故なし・初犯であっても自動的に処罰が軽減されるわけではなく弁護士が積極的に活動することで初めて最善の結果が得られます。逮捕後すぐに弁護士に依頼して不起訴に向けた活動を開始することが重要です。
自首した場合・反省の態度が明確な場合
飲酒運転が発覚する前に自首した場合は刑法42条の規定(「自首した者の刑を減軽できる」)が適用される可能性があります。自首することで「反省の態度がある」という評価につながり処分の軽減に有利に働きます。
反省の態度を具体的に示す方法として弁護士を通じた謝罪文の作成・検察官への提出、断酒の誓約書・アルコール依存症の専門機関への相談記録の提出、家族のサポート体制の整備などがあります。これらの取り組みを弁護士が意見書として整理して検察官・裁判官に提出することで処分の軽減につながります。
「今後は飲酒運転をしない」という意思と具体的な再発防止策を示すことが検察官の信頼を得る上で重要です。アルコール依存症の治療を開始したという事実も再犯可能性の低下を示す有力な証拠となります。
弁護士に依頼して不起訴・罰金軽減を目指した場合
弁護士に依頼することで不起訴処分の可能性を高め起訴された場合でも罰金額の軽減・執行猶予の取得を目指すことができます。弁護士なしで対応した場合と比べて処分が軽くなることが多いです。
弁護士は「酒酔い運転か酒気帯び運転か」という罪名の争い・情状立証・示談交渉・不起訴を求める意見書の提出など多方面から処分の軽減を目指します。これらの活動は専門知識なしには行えないため弁護士への依頼が不可欠です。
経済的に困難な場合は法テラス(日本司法支援センター)の弁護士費用立替制度を利用することができます。弁護士費用をかけてでも依頼することで前科回避・罰金軽減・執行猶予という形で十分な費用対効果が得られることが多いです。
飲酒運転・酒気帯びの刑罰は弁護士に相談
飲酒運転で検挙・逮捕された場合は速やかに弁護士に相談することをおすすめします。刑事処分・行政処分という複数の問題が同時に生じる飲酒運転事件では弁護士の専門知識が不可欠です。弁護士に相談することで「自分の事案で不起訴になる可能性はあるか」「罰金をどれくらい軽減できるか」「行政処分にどう対応するか」という疑問に対して具体的なアドバイスを受けることができます。初回無料相談を実施している事務所も多く逮捕後や検挙後すぐに相談することが最善策です。
まとめ
飲酒運転の刑罰は酒気帯びで罰金30〜50万円程度・酒酔いで50〜100万円程度または懲役刑が相場です。行政処分として免許停止・取消も別途行われます。同乗者・車両提供者にも刑事罰が科されることがあります。初犯・事故なし・示談成立・弁護士依頼によって処罰の軽減が見込まれます。刑罰を最小化するためには早期の弁護士相談が最善策です。