飲酒運転中のひき逃げで問われる罪と量刑・弁護士に依頼すべき理由

飲酒運転中にひき逃げをした場合は飲酒運転とひき逃げの両方の罪が問われ非常に重い処分が科されます。飲酒運転単独・救護活動を行ったケースと比べた量刑の違いを正確に把握しておくことが重要です。この記事では飲酒運転中のひき逃げで問われる罪・量刑の違い・弁護士に依頼すべき理由について解説します。

飲酒運転中のひき逃げで問われる罪

飲酒運転中にひき逃げをした場合は複数の罪が競合して成立します。

危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条)はアルコールの影響によって正常な運転ができない状態で運転して人を死傷させた場合に適用されます。傷害の場合は15年以下の懲役・死亡の場合は1年以上20年以下の懲役という重い法定刑が定められています。

過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)はアルコールの影響を受けた状態での過失で人を死傷させた場合に適用され法定刑は7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金です。これに救護義務違反(道路交通法117条:10年以下の懲役または100万円以下の罰金)が競合します。

さらに飲酒の事実そのものに対して酒気帯び運転または酒酔い運転の罪(3〜5年以下の懲役または50〜100万円以下の罰金)が適用されます。これらが複合することで単独の犯罪と比べて処分が著しく重くなります。飲酒運転中のひき逃げは最も悪質な交通犯罪のひとつとして扱われます。

飲酒運転単独と比べた量刑の違い

飲酒運転単独の場合(事故なし)と飲酒運転中のひき逃げ(事故あり+逃走)では量刑が大幅に異なります。

飲酒運転単独(酒気帯び・事故なし)の量刑目安は初犯の場合罰金30〜50万円程度・略式命令で処理されることが多いです。事故なし・初犯であれば不起訴処分になることもあります。

一方、飲酒運転中のひき逃げ(傷害あり)では危険運転致傷罪(15年以下の懲役)と救護義務違反(10年以下の懲役)が競合するため飲酒運転単独とは比べものにならないほど重い処分が科されます。初犯であっても実刑判決になることがあり懲役3〜10年程度の量刑が科されるケースがあります。

飲酒運転中のひき逃げ(死亡)では危険運転致死罪(1年以上20年以下の懲役)と救護義務違反が競合するため非常に重い実刑判決が見込まれます。量刑は逃亡期間・前科・悪質性などによって変わりますが飲酒運転単独と比べて格段に重い処分が科されることになります。

飲酒運転での人身事故(救護活動あり)と比べた量刑の違い

飲酒運転で事故を起こしても逃走せずに救護活動を行った場合と、救護せずに逃走した(ひき逃げ)場合では量刑が大きく異なります。

飲酒運転での人身事故(救護あり)の場合は救護義務違反が成立しません。危険運転致傷罪または過失運転致傷罪のみが適用されるため同じ事故でも処分がひき逃げより軽くなります。事故直後に救護・報告を行い被害者と示談した場合は執行猶予付き判決になることがあります。

飲酒運転でのひき逃げの場合は救護義務違反(10年以下の懲役または100万円以下の罰金)が加わり法定刑が大幅に重くなります。「事故直後に逃げた」という事実は「反省の態度がない」「被害者を見捨てた」として裁判官の心証を著しく悪くする要因となり量刑が重くなります。

救護義務を果たして報告・示談を行うことと逃走することでは最終的な量刑に非常に大きな差が生じます。飲酒運転で事故を起こしてしまった場合は逃走せずに救護・報告を行い速やかに弁護士に連絡することが処分を最小化する最善の対応です。

弁護士に依頼すべき理由

飲酒運転中のひき逃げは飲酒運転と救護義務違反が複合した非常に重大な刑事事件です。一人で対応しようとすると処分が不必要に重くなることがあります。逮捕後の限られた時間の中で最善の対応をとるためには弁護士の専門知識が不可欠です。早期の弁護士依頼が最善の結果につながります。弁護士に依頼すべき4つの理由を解説します。

  • 複合犯罪に対応できる専門知識がある
  • 不起訴・処分の軽減を目指せる
  • 被害者との示談交渉を代理で進められる
  • 逮捕後の早期釈放に向けた活動ができる

複合犯罪に対応できる専門知識がある

飲酒運転中のひき逃げは危険運転致死傷罪・過失運転致死傷罪・救護義務違反・飲酒運転が競合する複雑な事件です。それぞれの罪の構成要件・量刑・弁護方針が異なるため包括的な専門知識が必要です。

弁護士は「危険運転致死傷罪と過失運転致傷罪のどちらが適用されるか」という争点に対しても積極的に主張することができます。危険運転致死傷罪(最大20年以下の懲役)と過失運転致傷罪(最大7年以下の懲役)では量刑の差が非常に大きく、どちらの罪が適用されるかによって処分が大幅に変わります。

「飲酒の程度が危険運転致死傷罪の要件(正常な運転が困難な状態)を満たすか」について弁護士が専門的な主張を行うことで過失運転致傷罪での処理を目指すことができる場合があります。また救護義務違反についても「事故に気づかなかった」という主張の可能性を弁護士が検討することができます。

不起訴・処分の軽減を目指せる

飲酒運転中のひき逃げは重大な犯罪ですが弁護士の活動によって処分を軽減できる可能性があります。弁護士は検察官に対して依頼者の反省の態度・示談の成立・再発防止への取り組みなどを具体的に示した意見書を提出して処分の軽減を求めます。

軽傷・初犯・示談成立・反省の態度が明確というケースでは執行猶予付き判決になることがあります。執行猶予がつけば実際に服役することなく社会生活を続けることができます。飲酒運転中のひき逃げであっても弁護士の積極的な活動によって処分が軽減される可能性が十分にあります。

また弁護士は情状立証として「飲酒の背景・アルコール依存症の治療開始・家族のサポート体制」などを具体的に示すことで裁判官の判断に有利な影響を与えることができます。一人で対応するよりも弁護士のサポートを受けた方が処分が軽くなる可能性が高いため逮捕後は速やかに弁護士に連絡することが最優先です。

被害者との示談交渉を代理で進められる

飲酒運転中のひき逃げは被害者の感情的なダメージが非常に大きく示談交渉が困難になることが多いです。弁護士が代理人として被害者と交渉することで加害者が直接接触することによるトラブルを避けながら誠実な謝罪と賠償の意思を伝えることができます。

示談が成立することで検察官の起訴・不起訴の判断・裁判官の量刑判断において有利な事情として評価されます。死亡・重傷を伴う重大事故の場合でも示談の成立が処分の軽減に影響することがあります。弁護士が粘り強く交渉することで示談の可能性が高まります。

飲酒運転中のひき逃げの示談金は傷害の程度によって数百万円から1億円以上の幅があります。弁護士は適切な示談金の算定・賠償条件の交渉・示談書の作成まで一括してサポートします。示談交渉を弁護士に任せることで被害者との適切な解決を目指しながら処分の軽減を追求することができます。

逮捕後の早期釈放に向けた活動ができる

飲酒運転中のひき逃げで逮捕された場合、弁護士が逮捕後72時間以内に積極的に活動することで勾留を回避・短縮できる可能性があります。弁護士は裁判官に対して勾留の必要性がないことを主張する意見書を提出して早期釈放を求めます。

勾留が長引くほど職場・家族・日常生活への影響が大きくなります。弁護士が早期に介入して勾留回避・早期釈放に向けた活動を行うことで身柄拘束の期間を最小化することができます。特に飲酒運転中のひき逃げは重大事件であるため弁護士なしでは長期勾留になるリスクが高くなります。

また逮捕直後から弁護士が接見して取調べへの対応方針を伝えることで不利な供述をしてしまうリスクを防ぐことができます。「危険運転か過失運転か」「救護義務違反の成立範囲」など取調べでの対応が後の処分に大きく影響します。逮捕後は当番弁護士制度を活用するか弁護士に直接連絡して速やかに接見を求めることが最善の対応です。

まとめ

飲酒運転中のひき逃げは危険運転致死傷罪・救護義務違反・飲酒運転が競合する非常に重大な犯罪です。飲酒運転単独や救護活動ありのケースと比べて量刑が大幅に重くなります。「酔っていて気づかなかった」という主張が通りにくく弁護士の専門知識が不可欠です。逮捕後は速やかに弁護士に依頼することが最善策です。

監修者情報
浜宮 健太 弁護士
弁護士法人 稲葉セントラル法律事務所 自由が丘オフィス 支店長
浜宮 健太 弁護士
東京弁護士会所属 / 犯罪被害者支援委員会(東京弁護士会)

検察官から弁護士へ転身。「弱い立場の人を支え、より良い社会を」をモットーに、刑事事件・犯罪被害者支援を中心に活動。何が問題で、手続きがどう進むのか、不安を一つひとつ解消し、共に問題解決していくことをお約束します。

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監修・執筆
弁護士法人 稲葉セントラル法律事務所

刑事事件専門の弁護士チームが監修・執筆しています。逮捕・勾留・示談・裁判まで幅広く対応し、初回相談無料でご相談いただけます。

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