家族が逮捕されたとき、あるいはご自身が逮捕されてしまったとき、まず頭に浮かぶのは「どうすればいいのか」という不安ではないでしょうか。
逮捕直後の行動は、その後の処分に大きく影響します。特に弁護士への依頼は早ければ早いほどよく、逮捕後72時間以内の対応が結果を左右することも少なくありません。
この記事では、逮捕された場合になぜ弁護士が必要なのか、どうやって呼べばよいのか、弁護士に何をしてもらえるのかを順を追って解説します。
逮捕直後に弁護士を呼ぶべき3つの理由
逮捕後は時間との勝負です。弁護士に依頼することで守られる権利や得られる恩恵は、逮捕直後から積み重なっていきます。主な理由は次の3つです。
- 取調べで不利な供述を防ぐことができる
- 早期釈放・不起訴に向けた対応を早めに始められる
- 家族への連絡や接見を素早く行ってもらえる
取調べで不利な供述を防ぐことができる
逮捕後は警察や検察による取調べが始まります。この段階で、意図せず自分に不利な内容を話してしまうケースは少なくありません。取調べに慣れていない一般の方が、捜査官の誘導的な質問に対して適切に対応するのは容易ではないからです。
弁護士に接見してもらうと、取調べでどのように答えるべきか、黙秘権をどのように活用すべきかについて具体的なアドバイスを受けられます。証拠や状況に照らして不利な自白をしてしまうリスクを大幅に減らせるのは、弁護士早期依頼の大きなメリットです。
早期釈放・不起訴に向けた対応を早めに始められる
逮捕後は48時間以内に検察へ送致され、そこから24時間以内に勾留請求の可否が判断されます。この流れの中で弁護士が早期に動き出すことで、勾留を回避して早期釈放につながる可能性が生まれます。
また、示談交渉や被害弁償などの活動も、逮捕直後から着手できるかどうかで結果が変わります。起訴・不起訴の判断が下されるまでの時間は限られているため、弁護士への依頼は一刻も早い方がよいのです。
家族への連絡や接見を素早く行ってもらえる
逮捕直後は、本人から家族に直接連絡できないことがほとんどです。弁護士が接見することで、本人の状況を家族に伝えることができます。
また、家族が「逮捕されたことすら知らない」という状態を防ぐためにも、弁護士が早期に動くことは重要です。弁護士には接見交通権があり、接見禁止がついている場合でも面会できる唯一の存在です。
逮捕後に弁護士を呼ぶ方法
逮捕された本人または家族が弁護士を呼ぶ方法はいくつかあります。なかでも最も速く動ける方法として、当番弁護士制度を活用する方法が知られています。
- 当番弁護士制度を使って無料で呼ぶ方法
当番弁護士制度を使ってすぐに呼ぶ方法
当番弁護士とは、逮捕された方が費用なしで1回呼べる弁護士制度です。逮捕直後の方であれば、警察署の留置担当に「当番弁護士を呼んでほしい」と申し出るだけで利用できます。
家族が逮捕された場合は、弁護士会の当番弁護士ダイヤルに連絡することで手配を依頼することも可能です。弁護士が警察署へ出向いて本人と面談し、今後の方針についてアドバイスをしてくれます。
ただし、当番弁護士はあくまで最初の1回限りの対応です。継続的な弁護活動が必要な場合は、私選弁護人への切り替えを検討することになります。
当番弁護士・私選弁護士・国選弁護人の違い
弁護士には種類があり、それぞれ使えるタイミングや費用、サポートの範囲が異なります。どれを選ぶかによって、その後の対応の厚みが変わってきます。
- 状況に応じた弁護士の選び方と切り替えのポイント
状況に応じた弁護士の選び方と切り替えのポイント
当番弁護士は、逮捕直後の無料で1回呼べる制度です。費用の心配なく利用できる一方、継続的な弁護活動は含まれません。まず現状を確認し、方針を聞く場として活用するのが一般的です。
私選弁護人は、依頼者が自分で選んで依頼する弁護士です。費用は自己負担になりますが、弁護士を自分で選べるため信頼関係を築きやすく、逮捕直後から継続的かつ積極的な弁護活動を期待できます。特に早期釈放や示談交渉を重視する場合は、私選弁護人への依頼が有効です。
国選弁護人は、経済的な理由で私選弁護人を依頼できない方に対して国が費用を負担して選任する弁護士です。勾留が決まった段階で選任を請求できます。費用の負担が少ない反面、弁護士を選べないため活動の密度や対応の速さに差が出ることもあります。
それぞれのメリットと限界を理解した上で、状況に応じた選択をすることが大切です。
逮捕後に弁護士ができる4つのこと
弁護士は逮捕後の様々な場面で力を発揮します。具体的な弁護活動の内容は次の4点です。
- 接見(面会)を通じて状況を正確に把握する
- 勾留を防ぐための意見書・準抗告
- 被害者との示談交渉を進める
- 不起訴・執行猶予を目指す弁護活動
接見(面会)を通じて状況を正確に把握する
弁護士は逮捕直後から警察署に赴いて本人と面談できます。これを「接見」と呼びます。家族や知人には接見が制限される場合がありますが、弁護士は接見交通権によって制限を受けません。
接見では事件の内容や本人の状況を聞き、取調べへの対応や今後の方針を一緒に考えます。本人にとって唯一外部と話せる場であり、精神的な支えにもなります。
勾留を防ぐための意見書・準抗告
逮捕後に検察が勾留請求を行った場合、弁護士は裁判所に対して「勾留の必要がない」という意見書を提出し、勾留を防ぐ活動ができます。
それでも勾留が認められてしまった場合には、「準抗告」と呼ばれる不服申立てを行い、釈放を求めることも可能です。弁護士が迅速に動くほど、早期釈放の実現可能性が高まります。
被害者との示談交渉を進める
被害者がいる事件では、示談が成立することで不起訴処分の可能性が高まります。しかし、逮捕された本人が直接被害者に連絡することは許されていないため、弁護士を通じた示談交渉が不可欠です。
弁護士は中立的な立場から被害者との交渉を行い、示談書を作成します。逮捕直後から示談交渉を始めることで、起訴前に解決できる可能性が高くなります。
不起訴・執行猶予を目指す弁護活動
示談交渉の成立や被害弁償、反省の態度の示し方など、様々な要素が起訴・不起訴の判断に影響します。弁護士は検察に対して意見書を提出するなど、不起訴処分の獲得に向けて積極的に動きます。
もし起訴されてしまった場合でも、公判での弁護活動を通じて執行猶予付き判決を目指すことができます。弁護士がどれだけ早く動き出せるかが、最終的な処分の軽重に直結します。
弁護士費用の相場
逮捕事件で弁護士を依頼する際の費用は、事件の内容や弁護の範囲によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
着手金は逮捕・勾留段階から依頼する場合、20万円から40万円程度が多く見られます。報酬金(成功報酬)は、不起訴や執行猶予の獲得といった結果に応じて別途発生するケースが一般的で、20万円から50万円程度を目安にしているところが多いです。
これに加えて、実費(交通費・通信費など)がかかることもあります。費用が心配な場合は、法テラス(日本司法支援センター)を通じた審査で弁護士費用の立替制度を利用できる場合があります。
費用の詳細は弁護士事務所によって異なるため、まずは無料相談を活用して確認するのが確実です。
まとめ
逮捕直後は、取調べへの対応・勾留の回避・示談交渉など、あらゆる場面で素早い判断と行動が求められます。弁護士への依頼が早いほど対応できる選択肢が増え、より良い結果につながる可能性が高まります。
当番弁護士制度を活用すれば費用をかけずにまず弁護士を呼ぶことができます。その後、状況に応じて私選弁護人への切り替えを検討するのがよいでしょう。
逮捕された本人だけでなく、家族の方も弁護士への相談を早めに行動に移すことが大切です。